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◆中東のWMD問題
<中近東FAQ目次

核保有国になったことを祝うイラン国民の図
(Sharq紙,2006/4/12)
『サムソン・オプション』(セイモア・M・ハーシュ著,文芸春秋,1992/2/1)
「日本語で読む中東メディア」:コラム:米国によるイスラエルへのNPT参加要請について (al-Hayat紙)
◆◆オシラク原子炉爆撃
【質問】
イスラエルによるイラクの原子炉空爆は,どのように行われたのか?
【回答】
1981年6月7日にイスラエル・ネゲブ砂漠のエチオン基地から離陸したF-15×6機とF-16×8機によって空爆が行われ,これは世界中を驚かせた.
イスラエルはアラブ諸国が核開発を行うことを恐れ,2000lb爆弾2発を装備したF-16をイラクの原子炉爆撃に向かわせた.
F-16はこのほかに増加燃料タンクとサイドワインダーを装備し,F-15を護衛として,ヨルダン,サウジ・アラビアを回避するよう注意深く定められたルートの低空を高速で飛行し,イラクへ向かった.
目標は,バクダット南西20キロにある原子力発電所だった.
離陸から50分で,攻撃部隊は原子炉のドームを捕らえ,F-16が爆撃のため上昇,F-15がその後方から護衛に当たった.
F-16は全く効果のないAAAの抵抗にあっただけで,爆弾を投下することができた.
16発の爆弾すべてが原子炉ドームとその周辺の建物に命中し,1トン爆弾数発の命中でドームは崩壊,原子炉も破壊され,周囲の建物も甚大な被害を受けた.
この攻撃が鮮やかに決まった要因は以下の通り
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この攻撃はきわめて迅速に行われたため,主とバクダッド周辺に配置されていた地対空ミサイルも要撃戦闘機も,全く対処できなかった.
岐路に着いたF-15とF-16は,航続距離を確保するため,イラクとヨルダンの上空を高高度で通過していった.
ヨルダンはその領空を露骨に侵犯されたにもかかわらず,対空ミサイルも戦闘機も,これを防ぐことはできなかった.
作戦後,攻撃部隊のパイロットたちは18ヶ月にあたって秘密裏に作戦訓練を行っていたことが明らかにされた.
その訓練の中には,イスラエル国内の砂漠に作られた原子炉を模した建物に対する,何十ソーティもの攻撃訓練も含まれていたという.
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『現代の航空戦』(ロン・ノルディーン著,原書房,2005.5),p.287
ものすごい練度と度胸,緻密な作戦が絡み合った成功と言えるんじゃなかろうかと思う.
ますたーあじあ in mixi,2007年12月27日19:16
【質問】
オシラク原子炉の情報を,イスラエルはどのようにして入手したのか?
【回答】
セイモア・M・ハーシュ著『サムソン・オプション』(文芸春秋,1992/2/1),p.9-25によれば,アメリカの偵察衛星KH-11の情報をイスラエルは入手したという.
同衛星は偵察衛星の技術を飛躍的に高めたもので,アメリカにとって情報収集のエースであり,英国にすらその情報へのアクセスは制限されていたという.
アメリカからイスラエルへの情報提供に当たっては,
「先制攻撃計画の資料となる情報は提供しない」
という取り決めがあったが,レーガン政権時代のCIA長官ウィリアム・ケーシーは,イスラエルへの協力に積極的で,情報は何でも提供してしまったという.
詳しくは同書を参照されたし.
もっとも,偵察衛星だけでは内部構造までは知りえないので,ヒューミントも併用されただろうことは想像に難くない.
ちなみに自称「国際ジャーナリスト」の落合信彦は,
「モサドのエージェントが発信機をひそかに原子炉内に仕掛け,その発信機がイスラエル空軍F-16を誘導した」
とする話を述べているが,真っ当な根拠らしいものは何も見当たらないし,ノビーのこれまでの「前科」を考えれば眉唾くさい.
【質問】
オシラク原子炉爆撃に反対する意見は,イスラエル政府内にはなかったのか?
【回答】
あったようだ.
セイモア・M・ハーシュ著『サムソン・オプション』(文芸春秋,1992/2/1),p.17-18によれば,攻撃の是非を巡る意見対立はあり,1979年末近くから最高レベルで議論されていたという.
同書によれば,
「イラクの核兵器製造能力は確認されていない」
という理由で,モサドのイツハク・ホフィ長官と,軍情報部長ヨシュア・サギ少将,イガル・ヤディン副首相が反対しており,また,イスラエル軍部には,
「イラクが大金を原子炉に注ぎ込めば,そのぶんだけイラクが買う通常兵器の量が減る」
として,イラクの原子炉を歓迎する意見が強かったという.
詳しくは同書を参照されたし.
湾岸戦争を見るに,結果論だが爆撃賛成派のほうが正しかったと言えよう.
【質問】
オシラク空爆は米の反対を押し切って行われたのか?
【回答】
米の反対を押し切ってやった.
てか,これまでいつも米はイスラエルの外征・攻撃作戦に反対していたが,実施されると擁護に回る.
戦前の日本の軍部中央と満州軍の関係に近い.
軍事板
青文字:加筆改修部分
セイモア・ハーシュによれば,レーガン政権にとっては反対する・しない以前に,寝耳に水の出来事だったという.
その数ヶ月前にウィリアム・ケーシーCIA長官が,イスラエルを秘密訪問しており,そのときに協力関係を再構築したと彼は認識していただけに,イスラエルからの事前通知がなかったことに彼は困惑し,苛立ったという.
また,最高機密であるはずの米軍事偵察衛星KH-11によって撮影された写真が,オシラク爆撃に役立てられていたことも判明し,原因究明のための調査委員会まで開かれる羽目になった.
爆撃後,アメリカ国務省は公式にこれを非難し,F-16の対イスラエル売却は凍結された.
したがって,「擁護に回った」というのは厳密には正しくない.
しかしレーガン大統領個人はオシラク原子炉破壊を歓迎し,爆撃から2ヶ月後には凍結は解除されている.
気持ちは分からんでもないが.
この辺のアメリカの迷走ぶりは,『サムソン・オプション』(セイモア・ハーシュ著,文藝春秋,1992.2.1),p.15-26を参照されたし.
【質問】
オシラク原子炉爆撃は成功だったのか?
【回答】
セイモア・M・ハーシュ著『サムソン・オプション』(文芸春秋,1992/2/1),p.18によれば,戦略的には半分成功だったという.
なぜならイスラエルは計画通り原子炉を破壊したが,その近くにあるプルトニウム再処理施設には損害を与えなかったからだという.
詳しくは同書を参照されたし.
【質問】
オシラク原子炉爆撃がイスラエルによるものだと分かったのは何故か?
【回答】
メナヘム・ベギン首相が,戦術的成功に舞い上がって爆撃翌日,発表してしまったため.
セイモア・M・ハーシュ著『サムソン・オプション』(文芸春秋,1992/2/1),p.19によれば,国際的な非難を恐れたイスラエルは,爆撃に参加する航空機のマークを塗りつぶし,2分間で攻撃を終わらせることで,国籍をつかまれないようにしており,その可能性も低かったが,このベギンの軽挙で台無しになり,案の定,国際社会からは非難が殺到したという.
詳しくは同書を参照されたし.
せっかくの機密保持の努力を政治家が台無しにするというのは,比較的起こりやすいことなので注意を要する.
【質問】
オシラク原子炉爆撃に対し,アメリカはどのような対応をしたのか?
【回答】
見かけだけの「制裁」を,イスラエルに対して行った.
セイモア・M・ハーシュ著『サムソン・オプション』(文芸春秋,1992/2/1),p.16-17によれば,この爆撃により米国はF-16,4機の引渡しを延期した.
これは1975年の協定に基き,米国の長期低利融資を受けてイスラエルが購入する計画だった75機の一部.
「防衛のためにのみ」購入するとされていた.
しかしオシラク爆撃に参加したF-16も,その75機の一部だった.
その2ヶ月後,記者会見もなく凍結は解除され,何事もなかったかのようにその4機は引き渡されたという.
詳しくは同書を参照されたし.
【質問】
オシラク原子炉爆撃に対するイラクの報復行動は?
【回答】
セイモア・M・ハーシュ著『サムソン・オプション』(文芸春秋,1992/2/1),p.20によれば,その数日後にはソ連製スカッド・ミサイルを,サダム・フセインはヨルダン国境へ移動させたという.
これがヨルダン国内へ入っていれば,イスラエルのディモナ核施設(プルトニウム再処理施設を含む)がその射程距離に入っただろうという.
詳しくは同書を参照されたし.
原子炉破壊合戦に至らなかったのは幸いというべきだろうか.
【質問】
81年にイスラエルがイラクのオシラク原子炉を空爆で破壊した件は世界中から非難を浴びたけど、湾岸戦争後にそのことでイスラエルに謝罪した団体はあるのか?
【回答】
CNN一社だけ。
【質問】
イランの核計画が核兵器の獲得を目指していると見なされる根拠は何か?
【回答】
専門家は三つの要因を挙げている.
第一は,イランが建設している核施設は,核開発を目指す国が建てる典型的な施設であること.
第二に,イランは自国の核計画の一部を秘密にし,活動内容を適切にIAEAに報告していないこと.
第三に,世界で六番目に大きな規模の石油資源を持つイランにとって,核電力施設を建設することは合理的な根拠に乏しいこと.
("Foreign Affairs")
イスラエル国防軍の分析では,イランは秘密裏に核兵器開発を継続しており,2年以内に核兵器を完成させる可能性がある,という.
(エルサレム・ポスト,2004/11/21)
なお,英国際戦略研究所は国際軍事年鑑「ミリタリー・バランス05〜06」の中で,イランの核開発計画と中国の急速な軍備拡張に,周辺各国が懸念していると指摘,
「最も緊張した状態なのがイランだ」
と結論づけている.
ソースは毎日新聞,2005/10/25より.
【関連リンク】
「Global Security」:THE IRAN A-BOMB SCAM
【質問】
イランが原子力発電計画を実施することに,法的問題はないのか?
【回答】
問題はない.イランも参加している1970年の核不拡散条約(NPT)によれば,平和的利用とIAEAの査察・保障措置を受け入れる限りは,核燃料生産のためにウラン濃縮化施設を含む核施設を建設することは認められている.
("Foreign Affairs")
【質問】
イラン側は,どのような方法によって自国の核開発の透明性を保障すると主張しているのか?
【回答】
ウラン濃縮プロジェクトへ外国企業を参入させることによって,透明性が最大限保たれると主張している.
以下引用.
イラン,ウラン濃縮への外国企業参入計画を採択
イラン政府は,ウラン濃縮プロジェクトへの外国企業の参入を,イラン原子力機構が具体的に制定するという計画を採択しました.
イランでの5日の報道によりますと,この計画は2日の閣議に採択されたもので,アハメディ・ネジャド大統領が9月17日国連第60回総会で提案していたものです.
その際,アハメディ・ネジャド大統領は
「これは,イランのウラン濃縮計画の透明性を最大限保ち,イランの原子力活動が軍事的目的に使われないことを保障するためのものだ」
と述べました.
http://jp.chinabroadcast.cn/151/2005/11/06/1@51646.htm
【質問】
イランはあとどのくらいで核兵器を製造できるか?
【回答】
英国のシンクタンク「国際戦略研究所」が2005/10/6日に発表した報告書「イランの戦略兵器プログラム」によれば,イラン南部ナタンツのウラン濃縮施設で1000台の遠心分離機を最適条件下で稼動させた場合,約2年半で高濃縮ウラン25キロの製造が可能としています.
ウラン25キロというのは,核兵器ひとつの製造に必要とされている量です.
現実には,この倍の年月が必要と結論付けていますが,
チップマン所長は,技術的問題や国際社会の圧力などで,「製造までには約15年かかる可能性のほうがより高い」との見方を示しています.
【質問】
核弾頭運搬手段の開発は,イランにおいてはどうなっているのか?
【回答】
報道によれば,着々と進んでいる模様.
2005/6/1には,中東の大部分に到達できる シハブ3型ミサイルの性能をさらに向上させた,新型固体燃料ロケットの実験に成功.
また,巡航ミサイルのコピーにも乗り出しているという.
ウクライナから購入の巡航ミサイルの複製,最終段階に
イランの軍事動向に詳しい米シンクタンク,戦略政策コンサルティングのアリレザ・ジャファルザデク所長は26日,ワシントン市内で記者会見し,イランがウクライナから購入した巡航ミサイルKh55(射程約3000キロ)を配備するとともに,複製にも成功しつつあるとの情報を明らかにした.
Kh55は欧州を射程に収め,核弾頭の搭載も可能.
ジャファルザデク所長が独自に得た情報によれば,イラン国防省の巡航ミサイル技術担当者は最近開かれた同国最高安全保障委員会(SNSC)の席上,Kh55の複製作業が「最終段階にある」と報告したという.
【質問】
イランのミサイル技術は,どの国のものが元になっているのか?
【回答】
報道によれば,北韓(北朝鮮)のものであるという.
以下引用.
イラン,北のミサイル技術入手元露軍人が交渉仲介 英紙報道
【ロンドン=蔭山実】イランのミサイルの開発をめぐり十六日付の英日曜紙サンデー・テレグラフは,ロシアの元軍人が北朝鮮とイランの仲介役を務め,イランから欧州までが射程に入る中距離ミサイルの開発を支援していたと伝えた.
イランのミサイルに北朝鮮の技術が使われているとの指摘はこれまでにもあったが,ロシアの元軍人の関与が明るみに出るのは初めてという.
同紙によると,元軍人は二〇〇三年にイランと北朝鮮の間で行われていた交渉を仲介.この結果,イランはロシアを通じて,米国の西海岸まで届くとされる北朝鮮の弾道ミサイル「テポドン2号」などの技術を極秘に入手したという.
イランのミサイルは,北朝鮮の「ノドン」を基に,イスラエルまで届く射程約千三百キロの「シャハブ3」を開発したが,新たな技術によってイタリアからドイツ,フランスまで届く,射程約三千五百キロで核弾頭も搭載できるミサイルの開発が可能になったとされる.
ロシアはこうしたミサイルの開発で製造施設や部品,技術をイランに供与していたほか,イランが十年後に導入を目指している新型ミサイルの開発支援に専門の技術者を派遣しているという.
イランのミサイル開発は同国の核開発とも関連しており,同紙は,ある米高官が
「イランの核開発は高度で,規模は大きく,中身の精度も増している.
その最大の狙いは核弾頭だ.
プーチン大統領はイランが何をしているかを知っている」
と語ったとも報じた.
今後,ロシアが何らかの釈明を求められる事態も想定される.
【質問】
北韓(北朝鮮)はイランの長距離ミサイル開発に,どう協力しているのか?
【回答】
朝鮮労働党傘下の企業を通じ,部品輸出を行っているという.
その総計は18基になるという.
以下引用.
北朝鮮→イラン,ミサイル取引急ぐ 狭まる包囲網,部品提供を協議
【ワシントン=有元隆志】北朝鮮からイランへのミサイル拡散に対する国際的な監視が厳しくなるなか,制裁が発動される前に,両国が地対地ミサイルの取引を急ピッチで進めようとしている−との見方が専門家の間で広まっている.
大量破壊兵器拡散に詳しいワシントンの情報筋は産経新聞に対し,北朝鮮のミサイル輸出企業の代表がミサイル部品提供について協議するため,十月後半にイランを訪れたと指摘した.
北朝鮮企業の名前は,チャングァン信用社.
同社は北朝鮮の朝鮮労働党内で軍需物資調達を担当する「第二経済委員会」傘下の企業で,中東向けミサイル輸出の中心的な存在.米国は,たびたび同社に制裁を科してきた.
詳細は明らかではないが,同筋は,訪問の目的を「イランがミサイル開発に必要なミサイルの部品や予備部品などのリストを提示するため」と指摘した.また,イランの反体制派活動家ジャファルザデ氏も,二十一日のワシントン市内での記者会見で,「イランが(ミサイル開発などを)加速している」などと語った.
ジャファルザデ氏はイランが北朝鮮の協力を得て,テヘラン近郊に核弾頭搭載可能なミサイルを隠すための秘密トンネル建設を進め,そこでミサイル開発を行っていることなどを挙げ,「北朝鮮の専門家はイラン国内のいくつもの施設に姿を現している.北朝鮮の関与は核計画からミサイルまで広範囲に及ぶ」と強調した.
北朝鮮がイランとの接触を重ねている背景には,米国が北朝鮮によるミサイル輸出などへの監視を強化していることが挙げられる.
十月二十四日付の米紙ニューヨーク・タイムズは,米政府が中国や中央アジア諸国に対し,北朝鮮を飛び立った不審な航空機の領空通過を認めないよう求めていると報じたが,米政府は六月にイラン貨物機が北朝鮮に着陸したのを米偵察衛星が確認して以降,働きかけを強めているという.
また,九月の第四回六カ国協議で,北朝鮮が核廃棄を確約した共同声明が採択されたほか,イランの核開発についても,国際原子力機関(IAEA)で論議が続くなど,両国に対する国際的圧力が増していることも,調達を急ぐ要因となっているとみられる.
イランの中距離弾道ミサイル「シャハブ3」は,北朝鮮の「ノドン」をもとに開発したとされている.
イランは日本などとの協議で,北朝鮮とミサイル開発での協力関係は「ない」と否定している.
その総計は18基になるという.
以下引用.
「北朝鮮のイランへのミサイル供給事実を確認」ロイター
【ワシントン6日聯合】北朝鮮がイランに対し,射程距離約2500キロメートルのBM5移動ミサイル18基を分解した状態で供給した事実が確認されたと,ロイター通信が6日伝えた.
これは,昨年12月にドイツの一部のマスコミが初めて報じたのを受け,ドイツが独自に情報を入手し,報道を事実として先月公式確認したもの.
ロイターは「イランは西側の懸念を無視し,核プログラムを稼動し核兵器生産の道を突き進む一方,核弾頭を運搬できるミサイル開発に拍車をかけている」と述べた.
これに先立ってアメリカの「USニュース・アンド・ワールドリポート」も去年12月,北韓がイランに対し,イスラエルやトルコまで攻撃可能なBM−25型ロケット18基を輸出したと報じています.
【質問】
アフマディネジャドの核戦略は?
【回答】
イランの一方的な行為を国際社会に押し付け,同意を強いるのがアフマディネジャドの戦法であり,同時にこれはハメネイへの挑戦であるという.
以下引用.
この問題をめぐる原理主義軍国主義派閥と比較的プラグマティックな保守派閥の緊張とギャップは一層厳しく,また際立っている.
イラン指導部は保守派も改革派も核開発計画に熱狂的だ.
イランは2005年8月あらゆる濃縮関連活動を凍結するという,国際社会への約束を破った.
以来,イランは欧州との危機に計画的に,またコントロールしながら対応してきた.欧州と世界が折れ,イランの条件を漸次受け入れる状態に持っていくことが(当面の)狙いだった.
(最終の)目標は,イランが(核兵器の開発と生産を可能にする)核燃料サイクルを獲得でき,それを国際社会に既成事実として受け入れさせることだった.
アフマディネジャドはこれまでの大統領たちと違い,欧州および国際社会との抗争を,たとえイランがその抗争によって高い代償を支払わねばならないとしても,恐れない.
イランの一方的な行為を国際社会に押し付け,同意を強いるのがアフマディネジャドの戦法だ.
アフマディネジャドは,欧州との交渉で妥協の意向は見せていない.彼の声明は他のイラン高官と同様,イランが抗争に向かっていることを明示している.
イランと欧州との交渉は,さる8月イランがイスファハンでウラン転換を再開したことで崩壊した,
アフマディネジャドらイラン高官は,欧州との交渉を継続する用意があると主張する.
しかし(イランの核開発問題は)もはや交渉の対象にはならないとも断言する.
また,欧州がイランの核燃料サイクルの要求を拒否するなら,イランには実際のウラン濃縮を自らのイニシアチブで再開する権利があり,ナタンズの遠心分離機工場で作業を再開する権利があると主張する.
また,イランに対して考えられる懲罰手段はなんであれ,イランを害する以上に欧州と米国自身を害するとも主張する.※23
こうした経緯からイランは欧州の最近の提案を拒否した.明らかに米国の支持を取り付けた提案だった.
イランは国内で初期段階のウラン濃縮はできるものの,ほとんどの濃縮は国際機関の監視下ロシア国内で行われるとの内容だった.※24
イランは過去2年間穏健で,あたりさわりのない瀬戸際政策を取ってきた.
これは,イランの実用主義的な派閥,つまりハタミ大統領下のイラン外務省の政策だったが,原理主義保守主義者の一部,とりわけ超保守主義の日刊紙ケイハンから激しい批判を浴びてきた.
原理主義者たちは,欧州との交渉においてイランは厳格であるべきで,また妥協すべきではないと主張する.
さらに,原理主義者たちは欧州との核対話の道が果たして賢明かどうか疑い,過激な一方的な措置すら要求した.※25
現在イランの核政策を形作るポジションにあるアフマディネジャドは,約40人の大使を解任した.
これは,外務省内の改革思考派に対する追放措置の一部と見なされている.※26
また,このアフマディネジャドの措置,とりわけ欧州とアジアにおけるイランの枢要な大使の解任は,ラフサンジャニと「公益判別評議会」の権限増強への挑戦であり,結局のところはイランの核政策問題の最終決定者であるハメネイ自身の政策に対する批判と見なされる.※27
ロンドンの日刊紙アル・ハヤートの記事によると,アフマディネジャドは解任の前,大使たちと会った.
この際,自分は欧州人を信用していない,2004年11月イランと欧州の間で調印されたパリ合意は「帝国主義的政策を持つ」ものだと語った.
欧州はイランの立場を受け入れねばならず,もし受け入れないなら「我々は,彼らの扱い方を知ることになろう」と語ったという.
また,この記事によると,大使たちはこう主張したという.
「欧州連合(EU)はイランと事を構えることを望んでいない.EUは,近代的な核技術を獲得するイランの権利を尊重している.また,パリ合意は(イランとEU間の)漸進的な信頼醸成を切望する内容だ」
と語った.
しかし,アフマディネジャドは大使たちの主張を拒絶し,欧州は「自分自身が人権を尊重していないのに」人権問題に基づく教訓をイランに教えようとしていると語った.※28

【質問】
イランの宗教指導者は,核兵器使用に付いてどのような見解を持っているのか?
【回答】
イランの改革派インターネット日刊紙によれば,イランの超保守派の宗教指導者たちは,シャリーア(イスラム法)の見るところでは核兵器の使用は合法だ,とする見解を持っているという.
以下引用.
2006年2月16日,改革派の日刊紙ルーズ(www.roozonline.com)は(イランの宗教都市)コム出身の過激派聖職者が,同紙が「新しいファトワ」と呼ぶものを発出したと初めて報じた.このファトワは「シャリーアは核兵器の使用を禁じない」と述べている.
以下は,ルーズが掲載したシャフラム・ラフィザデShahram Rafizadehの記事の抜粋である.※1
「全世界が核兵器で武装している時,対抗(手段)として,これら兵器の使用が許される」
「(イランの)超保守派の宗教指導者たちは,シャリーア(イスラム法)の見るところでは核兵器の使用は合法だと受け止めた.
(アフマディネジャド・イランAhmadinejad大統領の宗教上の師である)(アヤトラ)メスバハ・ヤズディMesbah Yazdiの弟子モフセン・ガラビアンMohsen Gharavianは,対抗手段としての核兵器の使用に初めて言及した.彼は『シャリーアの見地から,それは(核兵器を使う)目標次第である』と述べた」
「これについて(イランの)イスラム共和国の指導部は,これまでのところ沈黙している.
彼らは現在まで,核兵器の使用はシャリーアに反すると見なしてきたし,繰り返しそう言明してきた,
過去数週間,イスラム共和国の一部上級(指導者は)急進的な(保守派)から受ける圧力を弱めようと試みた.
しかし,その事実にもかかわらず,急進派は(イラン)政界を完全にコントロールしているように見える.
「(国際原子力委員会=IAEA)理事会が(イラン核問題の国連安保理への付託を)決議して以来,(イランの)核問題を担当する(国家安全保障会議事務局長)アリ・ラリジャニAli Larijaniは一度しか記者会見を行っていない.彼の沈黙は重要である.※2
しかし,昨日,イラン国営通信はモフセン・ガラビアンの核問題に関する最近の発言を報道した.
ガラビアンは(イランの宗教都市)コムの神学校の講師であり,(アヤトラ)メスバハ・ヤズディの弟子である.
彼は最近の発言で,シャリーアに従えば核兵器の使用は問題を構成しないかもしれないと初めて述べた.
彼はさらに
『全世界が核兵器で武装している時,対抗(手段)として核兵器を使用することは許される.
また,シャリーアに従えば,目標だけが重要だ・・・』
と述べた.
「(ガラビアンは)核兵器の軍事使用に問題はないと見ていると述べた(原文のまま):
『こう言わねばならない.当然しごくなことだが.全世界が核兵器で武装している時,対抗手段として,これらの兵器を使用することができることは必要である,と.
しかし,重要なことは,それが使用される目標が何かだ』
「イランの超(保守派は)これらの兵器使用のための根拠を準備する新たな努力を開始した」
「政府に近いこの聖職者はまた,核交渉と,同交渉の将来の諸段階に言及した.彼はイラン核問題の(安保理への)ーー『付託』ではなくーー『報告』は言葉の意味をもて遊んでいるとし,
『イランのイスラム共和国政権に圧力を掛ける西側の主要な目標は恐怖を引き起こすことだった.
しかし,我々はヨーロッパとアメリカの将来の態度の成り行きを見て.それから最善の決定を下す』
と語った.
「ガラビアンの声明は(アヤトラ)メスバハ・ヤズディのグループによる核問題に関する最初の公の声明である.
今まで,最高位の宗教(指導者)は誰も,宗教上の根拠に基づく核兵器の使用は認めなかった.
しかし,今や,イランの超(保守派)はこれら兵器の使用のための宗教的根拠を準備する新たな努力を開始したように見える.
〔略〕
(1)http://r0ozonline.com/01newsstory/014094.shtml.
注目されるのは,日刊紙ルーズがイラン外部から投稿され,インターネットフォーマットでしか入手できないことだ.
(2)メムリ・テレビ・クリップ No.1029
ただし,ソースがソースであるだけに,バイアス注意.
◆◆◆イランへの制裁
【質問】
イランへの経済制裁は効果あるの?
【回答】
経済封鎖がアテにできない,これは鉄板.
米艦隊がペルシャ湾を完全封鎖するぐらいの気合がないと無理ですし,それに対抗してイランがタンカー戦争ふたたびとかになったら大パニックが起こります.
また,石油にメイド・イン・ペルシャと書いてあるわけではないので,市場に流れてしまえばもう追えません.
(逆にイランが敵対国には売らないぞと脅すのも無理なんですが)
ただ,アメリカも経済的なカードを全て切っているわけではありません.
アラブ・ボイコットのアメリカ版を厳密に断行したとすると,間違いなくイラン経済は破滅します.
まずこの手段は不可能なんですが,イランのあの暴走大統領が自分で自分のクビを締めてますので…
【質問】
アメリカによるイラン空爆はありえますか?
【回答】
アメリカの中東地域における戦略は一貫している,
それは地域全体にプレゼンスをあたえる大国の出現の阻止し,自国の国益につなげる事.
そういう意味ではEUの交渉の進展をみるが,交渉が頓挫したら,核関連施設を空爆して,それで幕を引こう そういうことじゃろ.
問題の根本的な解決にはなりようもないが,空爆で得られるメリットは
(1) イランは中進国,空爆されたらインフラ回復には途方もない時間がかかる.
(2) 攻撃されたことによる現大統領への批判の高まり,ひいては辞任.
(3) 自国民への求心力のひとつとしてあった対イスラエル強攻策の具現化が頓挫することによる,内部での路線変更,あるいは政変への期待,保守派の弱体化 etc
もし空爆が実施される場合,『同時に多数の目標を叩く』必要がありますが,それができるのは米軍(あるいは多国籍軍)だけでしょう.
政治的な理由から他国の基地は使わず,海上あるいはディエゴガルシアあたりからの出張になるかと.
トマホークなどを使うでしょうから,パイロットの被害は考えてないでしょう.
ちなみに,空爆があるとしたら,それは今年9月までに行われるだろうと見られている.
以下引用.
4月の下旬,ロサンゼルスタイムスは,対イラン武力攻撃が行われるとしたら,今年9月までに恐らくイスラエルによってだ,と概要以下のように報じました
(以下,武力攻撃の時期と主体については,ロサンゼルス・タイムス(4月29日アクセス)による.)
4月25日,ロシアはイスラエルのために偵察衛星を打ち上げた.
この衛星の目的はイラン核施設の監視であると考えられている.
同じ日に,ロシアは,イランに7億米ドルで29基のトール(Tor M1)防空ミサイルを販売する計画を予定通り進める意向を表明し,更に国連安保理がイランにいかなる制裁を科することにも反対する,と改めて表明した.
ロシアのこの二股膏薬的対外政策は,中東で新たな地域戦争を勃発させることを意図したものだという説がある.
米国を困らせ,石油や天然ガスの価格を高騰させることで得をするのは(石油・天然ガス産出国である)ロシアだ,というわけだ.
この日は,イスラエルのオルマート(Ehud Olmert)首相が,
「誰であれ,われわれを破壊する能力ないし力を持つことは許さない」
との決意を改めて表明した日でもある.
9月にはイランで上記トール・ミサイルの(恐らく核施設周辺への)配備が完了し,そうなればイスラエルだけではイランの核施設に手が出せなくなるので,イスラエルは9月までに対イラン武力攻撃を行うだろう.
【関連リンク】
「中東Today」:アメリカ国民の大半はイラン攻撃支持
「中東Today」:クウエイトのシンクタンクがイラン攻撃の影響予測
【質問】
イスラエルによるイラン空爆の可能性は?
【回答】
可能性があると見る専門家もいる.
ただしその場合でも,イスラエル単独とはならないだろうという.
以下引用.
この専門家は,イスラエルが精力的に軍事作戦を推進していると見る.
というのも,イスラエルは,イラン政府の核開発計画推進という(イランにとり)合理的な決定を心配し,イスラエルに対する恐ろしい脅威と見なしている.
さらに,イスラエルはイランの弾道ミサイルの射程内にある.
この専門家は,アメリカがイスラエルからの圧力によりイラン攻撃を決定し,空爆を始めるかもしれない,と考えている.
あるイスラエル軍事情報部の幹部職員は2005年末,イスラエルはイランの核施設を除去する決定をしており,作戦は2006年春に決行されるべきであると付け加えた,と言った.
しかしながら,私たちがコメントを求めた専門家は,たとえアメリカがイスラエルに,地下施設貫通・破壊用に設計された多くの精密兵器を供給したとしても,イスラエルは単独でイランの軍事目標を攻撃できないと見ている.
専門家は,精密爆弾とミサイルがイランの核施設に対して使用されるだろうと考えている.
対象となるイラン核施設は公式には14箇所である.
しかし,専門家は,イランの核施設はさらに多いだろうと推測している.
60以上のミサイルおよび空軍基地が第2の攻撃目標になるだろう.
さらに言うまでも無いことだが,イランの軍産共同体企業も攻撃目標に含まれている.
http://asyura2.com/0601/war78/msg/254.html
阿修羅,Globalresearch,と胡散臭さ爆発ですが,
記事自体はロシアの著名日刊紙(NezavisimayaGazeta)の転載なので,
ひとつの見方としてはアリでしょう.
(by イスラエル国防相 ◆3RWR.afkME in 軍事板)
たしかにイスラエルはシリアの防空網をかいくぐる能力がある模様で,ときどきシリア上空に威嚇飛行をしたり,シリア領内に爆弾を落としたりしているが,イランはシリアまたはイラクを超えた先にある.
過去にイスラエルがイラクの原子炉を稼動直前に爆撃したこともあるが,そのときもぎりぎりだった.
これらから考えると,イスラエルがイランの核施設に航空攻撃というのは,ちょっと考えにくくはある.
軍事板
【質問】
イスラエルがイランの核施設を空爆するのではないかと報道されていますが,
もし実際にイスラエルが空爆する場合,どのように空爆するのでしょうか?
イランは,イラクやシリアと違って,イスラエルからかなり遠いと思うのですが,空中給油機などを使えば,可能なのでしょうか?
【回答】
IAF,つまりイスラエルは空中給油機を有しており,最近では6月上旬に地中海からギリシャの空域まで大規模(100機以上だったか)な演習を行っています.
この演習ではヘリも長距離進出し,戦闘救難の訓練をしたとのこと.
ということで,トルコ方向からの越境などが考えられるでしょう.
ただし,イランも核開発施設の分散と地下化を進めており(出て来るだけでもナタンズ,イスファハンなどに分散),イスラエルが果たして危険な賭けに見合うだけの戦果を挙げられるかは疑問という話です.
軍事板
青文字:加筆改修部分
【質問】
イランは空爆に対する備えはしているの?
【回答】
最近になって,ロシアから地対空ミサイルをせっせと買い込んでいるそうです.
しかしそれでも,イラン空軍は戦力としては役に立たないだろうと考えられているので,イラン指導部はイラクへのゲリラ戦に活路を見出すことになるでしょう.
まず,ロシアからのミサイル購入については,次のような記事が出ています.
ロシア,イランに地対空ミサイル等を売却
ロシアの通信社は,ロシアとイランがミサイルや防衛システムに関する10億ドル以上の装備の販売に合意したとの報道を行った.
そのなかには最大30両のトールM1SAMが含まれている.
インターファックス通信は,トールM1は最大高度6000mで同時に48目標を追尾し,2目標に対してミサイルを誘導出来ると報じた.
また通信社は,2つの国がイランの空軍装備の近代化を行う契約を交わしたと報じた
今の所,この報道に対するイランからのコメントは無い.
9M331Tor SAMについては
http://missile.index.ne.jp/cgi/misearch.cgi
を参照してください.
イラン,ロシア製地対空ミサイル購入へ(2005年12月16日)
イランとロシアは2006年の後半にロシア製地対空ミサイル複合体の購入に関する購入計画を策定・承認した
Pechora-2Aは距離3.5〜38km,高度20m〜20kmの範囲で最大速度700m/秒で飛行する航空目標を攻撃可能.ミサイルシステムは中東の射程範囲でF-16とトマホーク類似の標的への命中に成功した.
ミサイルシステムには,昼夜に渡って飛行目標を探知する新型の光学式電子装置を有している.
それは近代的なミサイルと防御装置を使用する.
Pechora-2Aはブシェールでロシアが建設中の原子力発電所の防衛に用いられるかもしれないと,Grani. Ruwebsiteはロシア連邦政府の軍事技術協力科の情報筋を引用して報告した
「テヘランが発電所を作るのを助けるため,ロシアはこれの安全を確保しなければならない.
その破壊は中東での環境災害を引起こしかねない」
「それは対空システム分野でのイランと(ロシアと)の協力が継続される理由である」
と情報筋は述べた.
先にロシアのメディアは,モスクワが11月に,30基のTor-M1対空ミサイルを含む,10億ドルの兵器のイランへの売却に同意したと報道した.
ロシアのイワノフ国防相は,イランへのTor-M1対空ミサイルの引渡しの契約に調印したと述べた.
ペチョラ-2Aは,ロシアのアルマズ設計極が開発したS-125ネヴァ(輸出型はS-125M1ペチョラ,NATOコードはSA-3ゴア)の最新改良型です.
古くからある対空ミサイルですが,電子装備を真空管から最新の電子装備に置き換えて,巡航ミサイル迎撃能力や対ECCM能力を向上,光学/テレビの多チャンネル自動追尾装置を搭載したことなどが特徴です
ペチョラ-2Aの開発元のアルマズ公式サイト
http://www.raspletin.ru/eng/
しかしそれでも,イラン空軍は戦力としては役に立たないだろうと考えられているので,イラン指導部はイラクへのゲリラ戦に活路を見出すことになるでしょう.
以下引用.
アメリカは,イラク統治を安定させようとして泥沼にはまっているため,アメリカが選択できるイラン攻撃の唯一の手段は,空襲および巡航ミサイルとなるであろう.
言いかえれば,イラン攻撃の目的が空襲によってのみ達成される場合,アメリカはユーゴスラビアでのシナリオを繰り返すだろう:
(セルビアでは)ミロセビッチ政権は倒され,セルビア人はコソボから追放され,軍事関連産業は徹底的に破壊された.
イランの防空能力は脆弱なので,決定的に戦局を左右しないだろう.
専門家によれば,1970年代末にイランに配備されたアメリカの防空システムは,交換部品の不足によって稼動不能である.
ロシアのS-200システムは適切な防空圏はあるが,高性能戦闘機に対しては無力である.
中国のS75sは時代遅れで,現代の航空機に対して役立たない.
イランは,ロシアから数十発の射程の短いTorシステムを最近購入した.
しかしイラン軍の実戦訓練はまだ行わなれていない.
以上の理由により,イラン空軍は戦力として計算できない.
空軍は役に立たないので,イランは地上軍によるイラク侵攻という残りの手段に頼らざるを得ない.
しかしKhramchikhinは,イラン地上軍はアメリカ軍を攻撃するかなり前に,アメリカ空軍の攻撃で壊滅させられるだろうと推測する.
しかし,イランの宗教指導者はゲリラ戦に活路を見出し,イラクのシーア派民兵の反乱を援助するかもしれない.
それはアメリカにとり悲惨な結果を招来するであろう.
現在でもアメリカは,イラクの3つの田舎州でのスンニ派のゲリラ抵抗を鎮圧することすらできない..
.イランの反乱は,部族長または聖職者からの宗教令なしでも自然に始まるかもしれない.
イランは旧式のソビエトおよび北朝鮮のスカッドミサイルの改良型である,一定量の短・中射程Shihab戦術ミサイルを保有している.
私たちが取材した専門家は,スカッドミサイルの性能は悪評高いので,Shihabミサイルがアメリカ軍に重大な損害を与えることはないと主張している.
現時点では,イランは高性能兵器を製造する技術はない.
http://asyura2.com/0601/war78/msg/254.html
阿修羅,Globalresearch,と胡散臭さ爆発ですが,
記事自体はロシアの著名日刊紙(NezavisimayaGazeta)の転載なので,
ひとつの見方としてはアリでしょう.
(by イスラエル国防相 ◆3RWR.afkME in 軍事板)
【質問】
イラン核施設空爆は,どのような被害をもたらすと予測されるか?
【回答】
イランの軍人の死者は数千人,民間人の死者は少なく見積もって数百人と予想されるという.
以下引用.
2月13日には,英国のブラッドフォード大学のロジャース(PaulRogers)が,概要次のような論考
(http://www.taipeitimes.com/News/world/archives/2006/02/14/2003292995.2月15日アクセス)
を出版しました.
米国かイスラエルがイランの核施設を突然空襲したならば,イランの軍人の死者は数千人,民間人の死者は少なく見積もって数百人と予想される.
これは,イランの核施設が人口密集地に多く設置されていること,核開発の技術的支援部門やミサイルのインフラ部門も攻撃する必要があり,これらの施設(工場)がやはり人口密集地に多いからだ.
空襲の対象となるのは,テヘランの研究用原子炉・ラジオアイソトープ生産施設・各種核関連研究所・カラエ(Kalaye)電力会社のほか,イスファハン(Isfahan)とナタンツ(Natanz)にある施設や,ブシェール(Bushehr)に建設中の原子炉だろう.
この最後の原子炉は2006年に完成するが,それから空襲したのでは,イラン内はもちろん,湾岸諸国やサウディの湾岸一帯が放射能で汚染されてしまいかねないので,やるとしたら,それまで,ということになる.
空襲は,同時並行的に一挙に実施され,それにより,できるだけ多数の技術者を殺害しようとするだろう.
イランの防空能力は弱体であり,かかる大規模空襲に対処するすべはないだろう.
【質問】
イラン核施設空爆は,イランの現体制強化になってしまうのではないか?
【回答】
そうとも言えないという見解もある.
以下引用.
ワシントンのシンクタンクのCenterfor Strategic and International Studiesのシニア・フェローのルトワク(Edward N. Luttwak)は,概要次のような論考(2月11日アクセス)を2月10日付のロサンゼルスタイムスに寄せました.
イランの核施設を空襲すると,イランの現体制をむしろ強化してしまう,という意見があるがこれは誤りだ.
確かに,ドイツ・日本・セルビアに対する空襲は,それぞれの体制を強化してしまったが,それはこの三国がいずれも単一民族国家(nation-state)だったからだ.
これに対し,イランはペルシャ人中心の多民族帝国(multinationalempire)であってかつてのソ連と似ている.
しかし,ソ連ではロシア人が多数を占めていたが,イランではペルシャ人は半数ちょっとしか占めていない.
そして,イランでは,ペルシャ人だけはイランに強い愛着を持っているものの,その他の民族はペルシャ人が支配的なイランにほとんど愛着を持っていない.
東に居住するバルーチ(Baluch)(人口の2%),西(クゼスタン地方)に居住するアラブ(3%),北西に居住するクルド(9%)の間では,叛乱ムードが燻り続けている.
これらの少数民族は,いずれも核施設への空襲を歓迎するだろう.
ただし,少数民族とは言っても,トルクメン(Turkmen.2%)ラー(Lur.2%)やギラキ・マザンダラニ(Gilaki・Mazandarani.計6%)は,ペルシャ語の方言を用いていることから,ペルシャ人寄りの可能性がある.
しかしもう一つ大きな少数民族がいる.ペルシャ系だがトルコ語を用いている北のアゼリ(Azeri)だ.テヘランに居住するアゼリの多くはペルシャ人に同化してしまっているが,北に行けば行くほどそうではない.
国境のすぐ向こう側のアゼルバイジャンがソ連から独立してからというもの,アゼルバイジャンを自分達の祖国だと思うアゼリが増えている.
これに加えて,イスラム革命以来のシーア派原理主義にその他の宗派の人々が辟易しているという現状がある.
バハイ・キリスト・ユダヤ・ゾロアスター各教の信者は,全部併せても人口の2%を占めるのみだが,人口の9%を占めるスンニ派は無視しがたい.何と言っても,100万人ものスンニ派が居住するテヘランで,専用のモスク一つつくることさえ認められていないのだから.
【質問】
イランへの地上侵攻はありえますか?
【回答】
地上軍による侵攻は当面ありえません.この先もないでしょう.
イラクよりも遙かに利権が入り組んでますので.
攻撃があるとしたら核施設限定になる筈.
バビロン作戦でイラクの核開発がたちまちヘタったように,途上国では失われた技術の再建に恐ろしく時間がかかります.
時間稼ぎ以上の効果が見込めるわけです.
ただし,限定的な地上戦の可能性はあるという見方もあります.
以下引用.
またこの専門家も,イラクとアフガニスタンで行われたように,アメリカ軍が中東の基地から空挺部隊をイラン領土に降下させる可能性を排除していない.
大量破壊兵器拡散防止や反テロリズムの大義名分のもと,アメリカ政府はアフガニスタン空爆の時と同様,周辺諸国政府からアジア諸国およびコーカサス山脈の空軍基地を使用する許可を得ようとするかもしれない.
イラン政府は,最悪のシナリオである軍事衝突の準備をしている.
実際,イランはかなり大規模な訓練済み軍隊を保有している.
しかしながら,イラン政府はイラン軍はアメリカとの正面切っての全面対決に耐えられないことを知っている.
そのため,イラン政府は国境警備隊と革命防衛隊を動員して,イラン国内至る所でゲリラ戦を行おうとしている.
イランにおける反米主義の高揚は,アメリカがイランに侵攻すれば,イラクやアフガニスタンよりさらに多くの困難に直面するであろうということを明確に示している
〔略〕
世界的には,イラク人がサダム・フセインの転覆を歓迎したように,イランでも新政権の樹立は歓迎されるだろうと考えられているが,アメリカ軍は狂信的な抵抗に遭遇する覚悟をしたほうがよい.
イラン人は死傷者がいくら出ても問題にはしない.ジハードで殉教した勇士は天国へ直行できるので,イラン人は死を恐れない.
http://asyura2.com/0601/war78/msg/254.html
阿修羅,Globalresearch,と胡散臭さ爆発ですが,
記事自体はロシアの著名日刊紙(NezavisimayaGazeta)の転載なので,
ひとつの見方としてはアリでしょう.
(by イスラエル国防相 ◆3RWR.afkME in 軍事板)
【質問】
イラン国内には核開発に反対する声はないのか?
【回答】
全くないというわけではない.
MEMRIソースによれば,反核学生暴動がテヘラン大学で起きたという.
ただし,報道管制下での限定的な情報であり,また,話を詳しく見てみると,「核開発などに費やす資金があったら,こっちにも回せ」という主旨の暴動であるようだ.
以下引用.
核はいらない―テヘラン大学で反核学生暴動
複数のイラン情報筋が,報道の検閲をうけ制約された形ではあるが,この4日間テヘラン大学の数キャンパスで暴動が発生している,と報じた.
改革派のインターネット新聞Roozによると,500名より成る暴動鎮圧隊がテヘラン大学を包囲しており,暴動学生とバシジ隊及び警察部隊が衝突したという.
テヘラン大学の学部教員パージに学生達が抗議したのが,暴動の発端である.
たまたま,この日はペルシア暦のホルダッド月の第二日にあたる.改革派のハタミ(Mohammad Khatami)が初めてイランの大統領に選ばれた日である(1997年5月23日)※1.
この学生暴動で8名の学生指導者が逮捕され,Roozに引用された複数の目撃者の話によると,キャンパスで篭城中の学生の内25名が負傷した.うち5名は重傷という.
目撃者達は,学生達が,
「我々は核エネルギーなど欲しくない」,
「パレスチナは忘れろ」,
「国民のことを考えろ」
といった反政府スローガンを叫んでいる,と述べている.
目撃者達によると,イランの治安部隊は実弾を発射しており,キャンパスの外の住宅にも撃ちこまれている.
学生のひとりはRoozに
「大学のキャンパスは燃えている.鎮圧隊が襲撃を繰返し,銃声音が轟き…,あちこちに血糊が飛び散っている」
と語った※2.
大学の電話線はすべて切断されているという.
別の目撃者達によると,
「警察の暴動鎮圧隊は,ヘルメットをかぶり防盾と棍棒を手にしてキャンパスへ突入し学生達に襲いかかっている.目茶苦茶に殴打され,立てなくなった学生も多い」
という.
或る大学警備員はRoozのリポーターに,
「学生達を殴打してもよいが,痕跡がついてはいけないので,額面と頭は殴るなと言われた.
学生に容赦は無用.但し,バシジ学生組合員には手をだすな,と命じられた」
と語った.
学生のひとりは,
「暴動鎮圧部隊を次々と送りこんでいる.ざっとかぞえても,3,000人はいる.車両やオートバイに乗ったアンサル・ヒズブラ隊も沢山いる.消防の放水車(学生を散らすため)もキャンパスに配置された…」
と言った※3.
リポーターのひとりは,
「取材に来た報道関係者達は警備隊員に校門のところで阻止され,(キャンパスに)はいれない」
と報じている※4.
現地の警察は,暴動に関与した学生は100人足らずと主張している.
しかし,Roozの取材した複数の目撃者によると,中心のキャンパスでは学生4,000人のうち3,000人ほどが暴動に加わっており,法学・政治学部のキャンパスでは2,000人が関与しているという※5.
最高指導者ハメネイ師に近い超保守系新聞Kayhanは,学生指導者達を「(アメリカ)議会のテヘラン大学駐在員」と呼び,
「昨日午後,教員数名が辞職させられた後,非合法集団が教室でデモをやった」
と報じた.
Kayhanによると,デモの首謀者は学生ではなく,学外から来た者であるという※6.
テヘラン首都警察長官タライ(Morteza Talai)はイラン学生通信(ISNA)に対し,
「午後9時30分,学生100名が校門付近に集まり,2-30名の学生が付近の人家に投石を始めた.火炎瓶も投げている」,
「警察は抑制した行動に終始した.そして翌午前5時30分まで,火炎瓶を投げるデモ隊に対し,制止行動をとった.しかし,警告に従わなかったので,朝になって警察はキャンパスに突入し,午前7時までに逮捕し,キャンパスを解放,市の派遣隊の協力を得て後片付けを終えた…
この間3人の学生が学生寮の屋根にのぼろうとして負傷した」
と語った.
※1 ホルダッドの第二日≠ヘ,イランの改革運動の名前になった.近年保守派からひどい弾圧をうけ,今日では政界代表が全くいない状態になっている.
※2 2006年5月25日付 Rooz
http://r0ozonline.com/01newsstory/015805.shtml
※3 同上
※4 同上
※5 2006年5月25日付 ISNA
http://www.isna.ir/Main/NewsView.aspx?ID=News-723636&Lang=P
2006年5月25日付 Rooz
※6 2006年5月25日付 Kayhan
http://www.kayhannews.ir/850304/2.HTM#other207
※7 2006年5月23日付 IranFocus(写真)
http://www.iranfocus.com/modules/news/article.php?storyid=7312
【質問】
イランの核開発を,他の中東諸国はどう思っているのか?
【回答】
アラブ・メディアでは,多くのコラムニストが,イランの核開発を懸念し,反対の立場をとっている.
一方,核開発を支持し,これでイランとイスラエルの核能力に対して国際社会はダブルスタンダードがとれなくなる,と主張する者や,イランに倣えと叫ぶ者もいるという.
以下引用.
はじめに
2006年4月11日,イランが,ウラン濃縮に成功したと発表した.その発表はアラブのメディアに複雑な反応をひき起している.
多くのコラムニストが,イランの核開発を懸念し,反対の立場をとっている.核武装のイランは,アラブ諸国全体特に湾岸諸国に脅威になるとし,この地域の軍拡競争に拍車をかける,と主張するのである.
イランの核施設から放射能が漏出し,チェルノブイル級の重大な環境汚染をひき起す可能性あり,と論じるコラムニストもいる.
更に,世界を潰滅しかねない新しいヒトラーの登場,と大統領アフマディネジャドを批判している者もいる.
一方,イランの核開発を支持するコラムニストもいる.イスラエルに対する力のバランスを改善できるとし,これでイランとイスラエルの核能力に対して国際社会はダブルスタンダードがとれなくなる,と主張する.
なかには,イランにならえと叫ぶコラムニストも何名かいる.核能力を身につけ,欧米と戦う武器にせよというのである.
次に紹介するのは,イランの発表に対するアラブメディアのさまざまな反応である.
Tイランの核開発に対する批判と反対
1.アフマディネジャド(新しいイランのヒトラー)世界に挑戦
アメリカ在米のヨルダン人改革派アル・ナブルシ(Dr.ShakerAl-Nabulsi)は三本の記事を書き,イランの核開発と大統領アフマディネジャドを激しく攻撃した.
最初の記事でアル・ナブルシは,アフマディネジャドをヒトラーになぞらえ,第三帝国の轍を踏むおそれありと警告を発し,次のように書いている.
「国民大衆に向けたイラン大統領アフマディネジャドの感情的煽動的演説は,第二次大戦前の総統ヒトラーの演説を髣髴させる.
ヒトラーは抑圧されたドイツの大衆を前に,数時間の演説をぶち,世界に挑戦状を突きつけ,ヨーロッパ侵攻の脅しをかけ,ユダヤ人のゲットー化,焼却炉送りを約束した.ドイツの国民大衆は彼のスローガンをおうむ返しに唱えた.
これは,独裁政治の力で押しつけらたわけだが,それがどうなったか.第三帝国は崩壊,ドイツは潰滅状態になった揚句,二つに分断されたのであった.
今日イランでは,同じドラマが繰り返されつつある.核兵器と核エネルギーの取得(のみで),脅威になるわけではない.ヨーロッパ数ヶ国,ロシアそしてイスラエルの例にみられる通りである.
世界が恐れるのは,この種兵器が,違憲の非民主的独裁者の手に渡ることである.
物事が指導者の気分次第で動き,或いは支配者の白昼夢に左右されたり,聖職者のファトワで決まるような国家.そしてその対極にある,しっかりした民主体制の法治国家.核兵器が後者の手にある時,世界は騒ぎたてない.
イスラエルの核問題が云々されても,世界が騒がないのは,そのためである.
しかし北朝鮮とイランがこの危ない兵器を手にするとなれば,話は別で大騒ぎになる.凶器と化して第三次世界大戦を誘発しかねない.
イラン共和国は精神的最高指導者アヤトラ・アリ・ハメネイのだすファトワで,国家意志が決まる国柄であり,北朝鮮の場合も,独裁者の白昼夢に基いて国家の方針が決まる体制であるからだ….
イラン国民は,アラブ側指導者達がこれまで犯してきた数々の過ちを,教訓としなければならない.
この指導者達は感情に流され,大言壮語して自国民をかりたて,無謀な戦争をやっては敗北し,国民は塗炭の苦しみを味わった.自殺行為≠フ決定に大衆を動員し,その大衆は熱にうかされて指導者の政治的℃ゥ殺行為に従った.
結果は見るも無惨な破壊と人命損失.それは子供達の未来まで奪ってしまったのである」※1.
アル・ナブルシは,「シーア派の核爆弾―これが待ち望んだマフディーか」と題する二本目の記事で,次のように書いた.
「イランの未来型爆弾は,シーア派爆弾,即ち(シーア派が待ち望む)マフディーの伝説的パワーの代用品≠ナある.
マフディーは登場の暁,丸々400年(1517−1918)続いたスンニ派オスマン(トルコ)帝国の覇権の如く,武力を以てアジア,イスラム及びアラブ世界をシーア派ペルシャ帝国の足下に跪かせる.核はそれを可能にする.
つまりは待望久しいマフディーの代用品である…」※2.
アル・ナブルシは,三本目の記事で,アル・カイーダと核武装に走るイランの間には,目的,手段,手口,欧米に対する態度のうえで,類似点が10あるとして,それを指摘した後,次のように結んでいる.
「核武装に狂奔するイランの脅威は,アル・カイーダの比ではない.ずっと大きい.
核のうえに強力な軍隊と治安機関を有し,経済手段も強大である.そのうえに有力な援軍がいる.ヒズボラ,ムスリム同胞団,ハマス運動,シリアと自白押しである」※3.
2.イランの核はこの地域の軍拡競争を誘発する―アル・アハラム
エジプトの半官紙Al-Ahramは社説で「世界がイランの発表にきちんと対応しなければ,核武装競争を誘発してしまう」と警告を発し,次のように主張した.
「イランの核能力取得に対して,国際社会とアメリカが是認するような態度を示せば,この地域所在諸国に,誤まったメッセージを伝えることになりかねない.
イランの経験で拍車がかかり,この地域の多くの国が核開発に乗りだすだろう.
核能力を持てば,この地域だけでなく国際社会でも立場が強まる.
それだけではない.イランの核開発で地域の軍事バランスが必然的に崩れてしまう.
この地域でイランが他国とどのような関係にあるかを考えれば,バランス崩壊の意味するところは大きい.…」※4.
3.どの国も核の軍事用開発は不可―エジプト外相
訪日したエジプト外相アブルゲイト(Ahmad Abu Al-Gheit)は,東京における記者会見でイランの核開発問題に触れ,イランは核エネルギーの平和利用の権利を持つとしながらも,エジプトは中東の核兵器に反対すると主張し,次のように述べた※5.
「我々は中東への核兵器導入に反対する.イランはNPT(核拡散防止条約)の調印国である….調印国は(核エネルギーの平和的)利用の権利がある…
重要なのは,イスラエルであろうがイランであろうが,どの国も核の軍事用開発をしてはならぬということである」.
4.イランの核はアラブの脅威―アル・アラビアTV局長
アル・アラビアTV局長でロンドン発行アラビア語紙Al-Sharq Al-Awsatの前編集長アル・ラシド(Abd Al-Rahman Al-Rashed)は,「我々がイランを恐れる理由」と題し,同紙に次の署名入り記事を書いた.
「イランの核兵器に狙われるのは湾岸諸国だけのようである.これがアラブ世界に分裂をひきおこす※6.
イランがシリアに投下することは考えられない.ヨルダンやエジプトをターゲットにするとも思えない…
イランがイスラエル使用するのも考えられない.イスラエルはミサイル防衛システムを有し,強大な火力も持つうえに,イランの都市全部を潰滅させるだけの核戦力を持っているからである.
更に,イスラエルに対する核攻撃は,即パレスチナ人地区の大規模破壊を意味する…
つまりこの大量破壊兵器が使われるとすれば,ターゲットの選択肢はアラブ湾岸(諸国)だけということである…」.
「恐怖がこの地域を軍拡競争につき落す.この地域の誰のためにもならない.
これで得をするのは欧米,とりわけロシアの武器商人だけである」※7.
5.脅威を受けるのはアラブ湾岸域―沈黙するな
カタールの改革派知識人でカタール大前シャリーア・イスラム法学部長アル・アンサリ(Dr.Abd Al-Hamid Al-Ansari)は,カタール紙Al-Rayaに湾岸地域は大きな危機下にあるとし,次のように書いている.
「世界は,特に超大国はイラン(の脅威)問題で躍起になっているが…湾岸地域は一見したところ平穏で,こちらには何の関係もないかのようである.
しかし,この地域は…非常な危機下にあるのだ…
それにも拘わらず,我々は指一本あげようとしない.
イランの主張(平和目的だけのウラン濃縮)を額面通りうけとる者は,誰もいない.
イラン随一の盟友で,核(開発)を支援しているロシアも,平和利用のみなどとは信じていない….
ムスリム・イランの(核)プラント,特にブシェールは,距離からいえばテヘランより我方の国々に近いのであるが,我々には安全を求める権利がある.
イランは,放射能漏れの防止を保証できるのか,人為的ミスや技術上の欠陥,誤まりによる漏れはない,と誓えるのか.
事故があってからは遅いのである.地域全体が地獄と化す….
一体何の罰で,我々の子供や孫がイランの問題でおびえながら生きなければならないのだろう…
イランは依然としてアラブ首長国連邦の島嶼を占領したままであり,この地域のすべての国と問題をかかえている.このようなイランに平静でいられようか…」.
アル・アンサリは,イランの脅威に対して沈黙する湾岸諸国の指導者達も槍玉にあげ,次のように批判した.
「我々の指導者達は一堂に会して,ムバラクがやったように,テヘランに対する明確且つ断固たる声明を何故だせないのだろうか.
問題を直視せず,いつまであらぬ方を向いているのか.いつまで追従を続けるのか….我々の安全を保障するアメリカ以外に,誰が湾岸域を防衛し,守ってくれるのか.
我々が安全保障者として(アメリカを)考えても,一体誰がそれを非難できようか…」※8.
6.イランの核開発は,深刻な環境破壊の危険性あり
サウジの半官紙Al-Watanは,社説でイランの核開発がもたらす危険性は,軍事用核開発もさることながら,放射能漏れによる環境破壊の方が,まず第一に憂慮されるとし,次のように論じた.
「イランの核開発で心配なのは,放射能漏れによる環境破壊である.湾岸域全体が汚染される可能性がある.
何故それが心配であるかといえば,イランがロシアの核技術に依存しているからである.ロシアの核技術は信頼性が低く,安全性に問題がある.
広範囲に放射能汚染をひきおこしたチェルノブィル事故の後だけに,余計心配なのである…」※9.
クウェートの改革派知識人でクウェート大学政治学講師アル・バグダディ(Dr.Ahmad Al-Baghdadi)は,同じく環境破壊の面から首長国連邦紙Al-Ittihadで次のように論じた.
「旧ソ連時代チェルノブィル事故は大きな災害をひきおこした.
イランは,そのような事故をおこさぬ技術能力を持っているのか.
思慮分別のある人からみれば,イランの技術的後進性は明らかであるが,イランはそれを認めようとしないだろう.
更に,プラントのひとつから放射能漏れがあっても,汚染危険を認めず外部に知らせることもないだろう.
近い将来追加プラントの建設を予定しているから,危険性を自分から口にすることはなお更あり得ない.
湾岸地域からみれば,汚染と生態系破壊の危険は益々強まるわけである」.
アル・バクダディは,イランの専門家がビン・ラーデンやアル・ザルカウィ等のテロリストに核技術を売る可能もあると憂慮し,イランは,湾岸諸国が当然抱く懸念を全く考慮せず,自分のことしか考えていないとし,放射能漏出処置能力にも欠けると指摘,次のように書いた.
「イランのこのような破壊的冒険主義は阻止しなければならない…
イランは技術能力がだいぶ低い国である.この国の無謀と傲慢のつけは,結局は湾岸地域の住民が払わされることになる.住民は代々後遺症に苦しみ,汚染地域の土地利用や資源開発もできなくなる.
それは,イランが思慮深く行動するなら,いや力づくでもイランに思慮深く行動させるなら,防止することができるのである」※10.
7.イランは核で子供の火遊びをしている
エジプトの改革派知識人で元アル・アズハル大講師のマンスール(Dr.Ahmad Subhi Mansour,反スンニの見解の故に首をきられ,現在アメリカに居住)は,改革派サイトで,核兵器開発に向かうイランの動機について論じた.
イランは誰からも脅威をうけておらず,領土が占領されているわけではない.
むしろ恐れを抱いているのは湾岸諸国の方である.
更に,宿敵サッダム・フセインは排除され,アメリカはイラクの問題で足をとられているから,イランの立場は前に比べて強くなっているとしたうえで,アル・マンスールは,次のように書いていた.
「従ってイランは,虎視眈々として狙っている敵から身を守るため,核兵器を持つ必要はない.持つとするなら,大サタンたるアメリカとその西側同盟者と(戦うため)である.
世界が信仰の家と不信仰の家(こちらはダール・アルハルブ,戦争の家とも呼ばれる)に分けられるからである….
西側には,イランの核開発を恐れる正当な理由がある.
西側は,独裁者の精神構造を知っている.イランを勝手気侭に支配する聖職者の精神構造も判っているからである.
それは,我方の死者は天国に,彼等の死者は地獄に=iという第2代ハリーファのウマル・イブン・ハッターブの言葉)にもとづいて,イラン国民であれ敵側人民であれ,偉大なるジハードのためなら無辜の人間を何百万と殺害しても構わぬ,という精神構造である…※11.
イランは,カルバラにおけるアル・フサインの死や,バイト・アル・サキファの出来事,そしてスーフィンの戦いに,今でも非常にこだわり続けている.
一方にアリ・イブン・アブ・ターリブがおり,そのライバル達のアブ・バクール,ウマル,ウスマーンそしてムアーウィヤがいて,そのライバル関係のなかでアブ・ターリブ支援に馳せ参じることが信仰の核心,とされている※12.
彼等からみると,これがこの宗教の基盤でありこの世界の基盤である.単なる昔の話ではないのである.
遥か昔の歴史にこだわり,それを現代の宗教,政策,信仰の問題にしてしまう….それに核をからませてくると,
子供が電線で遊ぶように,事実上核の力をもてあそぶことになる」※13.
U イランの核開発を支持する立場
1.イランの核はイスラムの名誉を守る
シリアの国外追放問題担当相シャバン(Buthayna Sha`ban)は,ロンドン発行アラビア語紙Al-Sharq Al-Awsatのコラムに,次のように書いた.
「事情に通じている者なら,イランがやっている仕事は,インド,朝鮮及び中国のような国々が以前にたどった大変な科学,技術段階であることを,理解している.
それなのにまわりが騒ぎたてるのは,仕事をしているのがムスリム国家だからであり,核技術を確立して,この分野の先進国レベルへ到達する軌道に乗ったからではないか….
西側諸勢力はムスリムにさまざまな戦いを仕掛けている.
その戦争のひとつが,思想,科学及び技術の戦いである.意図は知れたこと.ムスリムによる知識と先進技術の取得を阻止することである.アラブを初めとするムスリムの科学,技術の後進性が,ムスリム侮蔑の根底にある.
ムスリムの聖地を侮蔑し,彼等の土地を占領するのも,科学,技術の後進性を笑いものにするところからきている.ムスリムに対する西側の政策を総括すれば,個人,政権,国家をテロリスト,過激派と一言のもとに切って捨てることにある.
そしてそれをムスリムの攻撃材料に使い,それを言い掛かりにして科学や知識の取得を阻止し領土占領を続け,資源を略奪し,国際舞台では見下した態度をとるのである.
イスラムの名誉を守るには,頭を使い論理的思考を駆使し,目的貫徹の姿勢を崩さず,科学上文化上の挑戦をうけて立たねばならない.
アメリカはイランを挑発の道を歩む(国)と言っている.
それでいいではないか.これこそアラブ,イスラム諸国があゆまねばならぬ道なのである…」※14.
2.世界は核問題でイスラエルをわきにおきイランを差別する
サウジ日刊紙Al-Watanは社説で,イスラエルを国際批判のトップにあげ,(イラン)差別をやめよ,とし,次のように主張した.
「国際社会は,態度を硬化させる前に,イランが何故核開発に取組むのか,その理由を考えるべきである.
アメリカと国際社会は,差別反対の原則にもとづいて,まずイスラエルを問題のトップに掲げ,その核能力を検証すべきである.
(イスラエルの核能力に)目をつぶれば,イランは強情になるばかりである.
これは,この地域とその住民のためにならない」※15.
ヨルダンのコラムニストであるアル・サファディ(Ali Al-Safadi)は「国際社会はイランとイスラエルのバランスを欠く」と題し,半官紙Al-Dustourに次のように書いた.
「国際社会は,イランに求めていることを,ほかの国特にイスラエルに求めていない.
西側は,イランの核開発には目の色を変えて反対するのに,イスラエルの核武装を助けた.
そしてこれが,この地域の平和と安全に対する最大の脅威になっているのである.
イランに禁じられていることが,何故イスラエルには許されるのか.イスラエルは何故国連安保理の決議をうけないのか.国連協定のチャプターセブンが何故適用されないのか.
ウラン濃縮禁止と核兵器拡散禁止は,例外なくすべての国に適用され,そして世界のすべての国を拘束する国際法がある時,論理的であると言えるのである…」※16.
ヨルダンの前宗教相でダァワ・救済のための世界イスラム評議会事務総長兼ヨルダン半官紙Al-Dustour会長のアル・シャリフ(Kamel Al-Sharif)は,イランの核の脅威は想像の産物にすぎないが,イスラエルの核の脅威は本物とし,次のように論じた※17.
「イランの脅威はあくまでも仮定の問題である.脅威であるかも知れない,そうでもないかも知れない.その程度のことである.
これと対照的にイスラエルの脅威は本物であり,現場に存在する.爆撃,ミサイル,戦車,装甲車,婦女子殺戮等々の形で,我々が日々目にしているのである…」※18.
3.イランが活動をエスカレートしたのはアメリカのせい
カタール紙Al-Watanのコラムニストであるハメド(Mazen Hamed)は,イランがミサイルと核兵器の開発に踏みきったのは,アメリカの政策のせいであるとし,次のように主張した.
「アメリカが隣りのイラクとアフガニスタンから砲をつきつけている時,どう対応すべきであろうか.アメリカの海軍が包囲し,空から海から陸から脅威を与えている時,どう対応すべきであろうか.友邦のシリアとレバノンが内外で包囲されている時,どう対応すればよいのであろうか.悪の枢軸≠フ主役に仕立てられた時,イラン国民はどう振舞えばよいのであろうか.軍事施設と核施設が攻撃されるといったニュースを連日読むようになった時,国民はどうすべきか.革命(即ち政権)打倒を煽りたてる計画を日々耳にする時,何をすべきであろうか.
以上の事実に照らして考えれば,イランが自衛策を講じ,侵攻に備え,これを阻止できる手段を確保するのは,当然である….
イランは活動をエスカレートし,代償は無視して驚くほど挑発的な態度をとっている.これもアメリカがイラン阻止政策をとり,主人気取りで指図するからである.ミサイルと核開発で(イランが)成果をあげているのも,もとはといえば(アメリカの反イラン)政策継続が背景にある…」※19.
4.アラブ諸国が核開発をしないのは残念
ヨルダンの半官紙Al-Dustourのコラムニストであるアル・リンタウィ(Ureib Al-Rintawi)はイランの核開発の成果を讃え,足踏み≠セけで核能力の取得に動こうとしないアラブ諸国を批判し,次のように論じた.
「極めて困難な地域的国際的環境のもとで成果をあげたイランを讃え,指導者とその(背景にある宗教上の)権威に敬意を表明する…
欠陥だらけの中東の非核化″\想などくそくらえである.この構想は,誰も納得させることができなかった.提唱者や推進者すら半信半疑である.この構想が弱者の立場からだされ,お願いのかたちをとっているからで,強者とその政治,経済,軍事力だけには自由に動ける余地が残されていた….
しかし,我々(アラブ)はこれからも我々得意の道楽を続けていくだろう.もっとはっきり言うならば,地に足のつかない無鉄砲な計画やスローガンを鵜呑みして,結局はその幻想にうちのめされていくということである.
我々はこれからも何十年と低迷を続け,足踏み状態にいることであろう.
イランが完全な核燃料サイクルを保持することによって,この地域で平和的軍事的利用を目的とした核能力を取得しようと猛烈な競争が始まるだろう.
しかし残念なことに,アラブの一国としてこれに名乗りをあげるところがない…」※20.
※1 2006年5月3日付 Al-Siyassa(クウェート)
※2 2006年4月23日付
http://www.elaph.com/ElaphWeb/ElaphaWriter/2006/4/143615.htm
※3 2006年5月9日付 Al-Raya(カタール)
※4 2006年4月16日付 Al-Ahram(エジプト)
※5 2006年5月16日付 ロイター
同17日付Al-Gumhouriyya(エジプト)
※6 2006年10月,アル・ラシドは,「左様,我々はイランのウランを恐れる」と題し,類似の記事を書いた.2003年10月10日付MEMRISD586「イランの核兵器はアラブ,イスラム諸国の脅威」
http://memri.org/bin/articles.cgi?Page=archives&Area=sd&ID=SP58603
※7 2006年4月18日付 Al-SharqAl-Awsat(ロンドン)
※8 2006年4月17日付 Al-Raya
※9 2006年4月21日付 Al-Watan(サウジ)
※10 2006年4月25日付Al-Ittihad(アラブ首長国連邦)
※11 紀元625年ウフードの戦いで,後に第2代ハリーファとなるウマル・イブン・ハッターブが,アブ・スフイヤンの言に応じたもの.「戦いに流れあり.今日はバドルの戦いのやりとり」とある.アブ・スフイヤンは,ムハンマドの軍勢と戦ったマッカ軍の指揮官で,初代ウマイヤ朝ハリーファのムアーウイヤの父.ウフードの戦いははっきりした勝敗がつかなかったが,ムスリム側が苦戦した.
※12 第4代ハリーファのアリー・イブン・アブ・ターリブの息子アル・フサインは,カルバラの戦い(681年)で,第2代ウマイヤ朝ハリーファのムアウイヤに家族諸共殺された.バイト・アル・サキファは,632年にムハンマドが死亡した後アル・マデイナのアル・サキファホールで行われたアブ・バクルに対するムスリム達の忠誠誓約で,アブ・バクルが初代ハリーファとなった.シーア派は,アブ・バクル,第2代ハリーファのウマル,第3代のウスマーンが,アリー・イブン・アブ・ターリブから正統なるハリーファの地位を奪った,と主張する.シーア派は,ムハンマドの死後ターリブが初代ハリーファになるべきであったと言う.
スーフィンの戦い(657年)は,第4代ハリーファのアリー・ビン・アブ・ターリブ軍と初代ウマイヤ朝ハリーファのムアウイヤ・イブン・アブ・サフィヤン軍との戦闘.
※13 2006年4月12日付
http://www.metransparent.com/texts/ahmad_sobhi_mansour_text/ahmed_sobhi_mansour_iran.htm
※14 2006年4月17日付 Al-SharqAl-Awsat
※15 2006年4月16日付 Al-Watan
※16 2006年4月16日付 Al-Dustour(ヨルダン)
※17 カメル・アル・シャリフは,1948年の戦争時ムスリム同胞団部隊を指揮してイスラエルと戦った.
※18 2006年4月16日付 Al-Dustour
※19 2006年4月14日付 Al-Watan
※20 2006年4月13日付 Al-Dustour
ハンナ・アブラハム(MEMRIの研究員) in MEMRI, 2006/5/26
【質問】
中露欧の,イランの核問題に対する基本的戦略は?
【回答】
ソースとするには「?」な部分の記述もあるが,北野幸伯によれば,以下のようであるという.
中国.
アメリカが中東を支配した日にゃあ,中国はアメリカに逆らえなくなります.(逆らいにくくなります)
米中戦争が起こっても,中東からの石油がとだえたら戦えない.
一方のロシア.
ロシアは,
1,アメリカが攻撃をやめると,イランの石油・ガス・原子力利権が転がりこむ
2,アメリカが攻撃すると原油価格が急騰してもうかる
というどっちに転んでもいい作戦.
欧州は今回,アメリカにつくことで,利権のおこぼれをもらおうという腹のようです.
(フランスは前回イラクの石油利権を失った)
というわけで,中ロは,一体化してアメリカのイラン攻撃に反対する意志を確認したのです.
ロシア政治経済ジャーナル No.388,2006/4/11号
◆◆イスラエルの核問題
【質問】
イスラエルが核兵器を所有している,と「断言」しているウェブサイトを見つけてしまったんですが,これはCIAやその他情報機関が公表,あるいは年刊軍事専門誌に記載されるほど確度の高い情報でありますか?
【回答】
はい.イスラエル自身は持っているとも持っていないとも言っていませんが.
イスラエルの核開発は1956年,海水の淡水化事業で使用するという名目で始まりました(異説あり).
フランスから原子炉(出力24メガワット)が輸入され,ネゲブ砂漠の真ん中にあるディモナという小さな街の郊外に据え付けられると,周囲には厳戒態勢が敷かれ,上空は飛行禁止区域に指定されました.
時を同じくして,アメリカのペンシルベニア州にユダヤ系企業「ニューメック」が設立され,濃縮ウランの再生事業を始めます.
1961年になると,この会社は「放射線照射による食料品および医療品の滅菌事業を始めました」と宣い,イスラエルに「食品・医療品サンプル」と書いたコンテナを続々と出荷します.
ここに来て,さすがにFBIが「おい,ちょっと待て.中身見せてみろ」となったんですが,イスラエルは外交圧力をかけて,この動きを潰します.
一連の出荷が終わるとあら不思議,ニューメック社から45キロもの濃縮ウランがなくなっていましたとさ.
さて,時は流れて第4次中東戦争,アラブ各国を中心にある噂が流れ始めます.
・曰く,イスラエルが南アフリカと組んで核開発を進めている.(当時南ア領の)ナミビアは天然のウランの生産地だ.すでに南ア領海内で核兵器の実験に成功した.
・曰く,戦争初期に大打撃を受けたイスラエル軍が,アメリカに緊急の武器援助を申し込んだ.アメリカは渋ったが,イスラエルは核弾頭搭載の地対地ミサイルを展開して使用をちらつかせ,結局,この間接的恫喝で大量の兵器を受け取った.
などなど.
この噂はエジプト・サダト大統領に早期停戦を決断させる材料になりました.
で,このあたりからイスラエルの核保有に関しては,限りなく黒に近い灰色である,というのが定説になります.
1989年に南アフリカが「核兵器は持ってたけど廃棄しました」と発表して,「ああやっぱり」.
現在,イスラエルは200〜300の核弾頭を保有していると言われています.
但しイスラエルがNCND政策(核兵器の保有を是認も否認もしない)を採っている以上,誰も断言はできない,というのが実際ですね.
このへんは今後,中東和平に劇的な進展がない限り,明らかになることはないと思われます.諦めましょう.
(イスラエル国防相 ◆3RWR.afkME)
なお,イスラエルの「ハーレツ」web版は '04年2月,
「現在イスラエルが保有する核弾頭数 は82個」
と報じています.
イスラエルの核兵器は400基に増加しているという報道もあります.
以下引用.
イスラエル核兵器400基保有,米空軍報告書
国際問題を専門に扱うウェブサイトのワールドトリビューンドットコムは4日,米空軍報告書を引用して,イスラエルが400基の核兵器を保有しているほか,イラン,イラクなどの核攻撃に備えて,報復攻撃が可能な核兵器搭載艦隊を創設していると報じた.
また,この報告書によると,67年当時13基と推定されていたイスラエルの核兵器が,原子爆弾と水素爆弾を含む400基に増えており,イスラエル海軍は,3隻のドイツ製ドルフィン級ディーゼル潜水艦の艦隊に,これらの核兵器を搭載することができると伝えている.
この報告書は,米空軍の兵器拡散防止センター(Counterproli―feration Center)の支援を受けて,ワーナファー陸軍大佐が作成したもので「第3神殿の至聖所(ユダヤ教の礼拝堂で最も神聖な場所):イスラエルの核兵器」という題がつけられている.
米国の軍事機関が,イスラエルの水素爆弾保有を明らかにしたのは今回が初めてであり,イスラエルが保有している核兵器の数は,従前の推定より2倍も多い数字.
報告書は,イスラエルがオマーン付近に核艦隊を配備して,射程350キロの核ミサイルを配備する可能性があるとし,イスラエルのこうした能力が,中東の核軍備競争に変化をもたらすものと予測した.
報告書はしかし,イスラエルの核兵器保有が,米国に対する直接的な脅威になるとはみていない.
【質問】
イスラエルは,いつから,どのように核を開発したのか?
【回答】
1949年から.
フランスの核関係者が協力したり,米国から情報を盗んだり,南アフリカと組んだりしたという.
以下引用.
イスラエルは1948年に建国されますが,初代首相のベングリオン(David Ben-Gurion)は,翌1949年には早くも核開発に着手します.
(以下,特に断っていない限り
http://www.latimes.com/news/opinion/commentary/la-oe-bisharat9dec09,0,3061121,print.story(2005年12月10日アクセス),及び
http://www.washingtonpost.com/wp-dyn/content/article/2006/02/16/AR2006021601897_pf.html(2月19日アクセス)
による.また,コラム#169も併せてお読みいただきたい.)
これに,先の大戦中のヴィシー政権のホロコーストへの協力に対する償いの意識から,フランスの核関係者達が協力しました.
ドゴール(CharlesdeGaulle)仏大統領は,1958年から1960年の間,二回にわたってこの協力を止めさせようとしますが,結局協力を黙認することとし,ディモナ原子炉の建設からフランス政府は手を引くものの,フランス企業が建設を続行することも認めます.
1958年に米国は,スパイ機U-2によって,イスラエル領内のネゲブ砂漠のディモナ(Dimona)で不審な施設が建設中であることを発見した(注1)ところ,1960年に,米CIAは,偵察衛星の写真から,この施設が建設中の原子炉であって完成した暁には核兵器の開発に用いられうるという結論を出し,その年の12月にアイゼンハワー大統領にその旨報告しました.
(注1)昨年12月上旬,英BBCは,それまでの英国政府の公式見解とは異なり,英国が1958年に,イスラエルの秘密核装備計画にとって不可欠なものであることを知りつつ,ノルウェーからイスラエルに20トンの重水が船で運ばれるのに便宜を供与したことをすっぱ抜いた
http://www.atimes.com/atimes/Middle_East/GL13Ak01.html(2005年12月13日アクセス).
1961年にアイゼンハワーから米大統領職を引き継いだケネディは,ベングリオンとその後任のエシュコル(LeviEshkol)首相に対し,核開発の断念を求め,ディモナ原子炉に査察団まで送り込みますが,イスラエルは査察団を欺き通します.
しかし,1963年にケネディが暗殺された跡を襲ったジョンソン(Lyndon B.Johnson)は,そのキリスト教徒としての信条・・神に選ばれたユダヤ人を助けなければならない・・からイスラエルの核開発・装備を見て見ぬふりをすることにしたのですが,それ以降の歴代の米大統領達もこのジョンソンの方針を蹈襲したばかりか,イスラエルに核拡散防止条約への加入を求めることすらしていません(注2).
(注2)イスラエルの核開発に積極的に協力した米国民も少なくない.1958年から60年にかけて,実業家のファインバーグ(Abraham Feinberg)は,秘密裏に約25人の大金持ち達から約4000万米ドル(現在価値で約2億5000万米ドル)の開発資金を集めてイスラエルに提供したし,水爆の父テラー(EdwardTeller)は,1964年から67年の間,6回もイスラエルを訪問し,核爆弾の製造を奨励するとともに,技術的助言を行った.
そしてイスラエルは1966年11月までには核爆弾製造技術を完成し,翌1967年,米CIAはイスラエルが核爆弾を手にしたであろうことを察知するのです(注3).
(注3)この情報は,ジョンソン大統領には伝えられたが,当時のクリフォード(Clark Clifford)国防長官とラスク(Dean Rusk)国務長官には伏せられた.
核装備の効果は絶大でした.
1973年の中東戦争の際には,当初劣勢に立たされたイスラエルが核兵器の使用を示唆したことに恐慌を来した米国は,急遽大量の兵器をイスラエルに供与し,このおかげでイスラエルは戦況を有利に変えることができたのです.
〔略〕
南アフリカ(南ア)は,面積が122万平方キロもある国であり,2万平方キロしかないイスラエルとは全く違うように見えるかも知れませんが,実は,つい最近まで,結構似たところがあったのです.
(以下,特に断っていない限り
http://www.guardian.co.uk/israel/Story/0,,1704037,00.html(2月7日アクセス)
による.なお,
http://www-cs-students.stanford.edu/~cale/cs201/index.html
以下と
http://www.southafrica.info/ess_info/sa_glance/history/919547.htm
以下(どちらも2月28日アクセス)も参照した.)
そもそも,南アフリカは英国の元植民地であり,1934年に絶対少数派の白人が黒人等を一方的に支配する形で独立したのに対し,イスラエルは,1948年に,英国の元保護領であるパレスティナの過半を領土にしてパレスティナ人を始めとするアラブ人を敵に回して独立したことが思い起こされます.
南アで1948年にボーア人(Afrikaner)を中心とする国民党(Nationalist party=NP)が政権をとると,南アのそれまでの黒人等有色人種差別を制度化したアパルトヘイト(apartheid)(注4)が法制化されて行きます.
(注4)黒人は身分証明書(後にパスポート)所持を義務づけられ,白人と黒人の結婚は禁じられ,バスやレストランの席は分けられ,黒人は居住地区や学校を指定され,黒人の就ける仕事は限定された.
後には黒人は「独立」を認められた狭隘な四つのホームランド(Bantustan(バンツースタン)とも称された)の「国民」となり,そこから白人地域に「海外出稼ぎ」にやってくるものとされた.
1960年以降は,断続的に緊急事態が宣言され,黒人は令状なしで逮捕・拘禁され,拷問を受け,多数が当局によって殺害された.
それらは,ナチスドイツのユダヤ人に対する差別諸法制にそっくりでした.
それもそのはずであり,国民党員には,先の大戦中にナチスに心酔し,協力した者が少なくなかったのです.(ボーア人にとって英国はボーア戦争の時の仇敵であり,ナチスドイツは敵の敵でもありました.)
ですから,本来,イスラエルと南ア(の国民党政権)とは相容れないはずでした.
事実イスラエルは,独立したばかりのアフリカの黒人諸国を味方にする目的もあって,1950年代から60年代にかけては,激しく南アのアパルトヘイトを批判していました.
ところが,1973年の中東戦争以降,アフリカの黒人諸国は,アラブ諸国寄りのスタンスに変わり,孤立感を深めたイスラエルは,同じく国内外の黒人勢力の敵意に取り囲まれ,かつ欧米諸国によって武器禁輸等の経済制裁を受けて孤立していた南アの国民党政権(注5)と秘密裏の協力を始めるのです.
(注5)イスラエルに関しては,アラブ諸国と同時にイスラム教が敵だったのに対し,南アに関しては,黒人諸国と同時に共産主義(ソ連)が敵だった.
両国の協力関係が公然化した一瞬があります.
それが,1976年の南ア首相フォースター(John Vorster)のイスラエル公式訪問です.
フォースターは先の大戦中,ナチ・シンパたるファシスト・グループの指導者として南アで投獄されたことのある人物だというのに・・.
両国は武器をめぐって,イスラエルが技術的ノウハウを南アに与え,南アがイスラエル製の武器を買ってイスラエルにカネを与える,という関係を構築し,おかげで南アは武器禁輸に対抗すべく,自国の武器産業を育成することができ(注6),アパルトヘイトの継続を果たしますし,イスラエルは,ちょっと大げさに言えば,国家の滅亡を免れるのです.
(注6)イスラエルは,南アの核開発にも協力した.
また,アンゴラに軍事介入した南ア軍部隊には,イスラエルの軍人が顧問として派遣されました.
しかし,1976年のソウェト(Soweto)暴動の頃から,南アはアパルトヘイトの維持コストの高さに閉口するようになり,ついに1994年には黒人にも選挙権が与えられた選挙が実施され,国民党は政権の座を降り,アパルトヘイトはここに終焉を迎え,イスラエルと南アの協力関係も幕を閉じるのです.
他方イスラエルは,1987年から始まったインティファーダにもかかわらず,パレスティナ人の要求を受け入れることはイスラエルの終わりであると考え,パレスティナ人「弾圧」政策を継続したまま現在に至っているので
す.
イスラエルの当局者達は,アパルトヘイトとイスラエルの対パレスティナ政策との類似性が指摘されると,「イスラエルには人種差別はない」と異口同音に強く反発しますが,現在昏睡中のシャロン首相が推進してきた対パレスティナ政策が,アパルトヘイトを参考にした部分があることは,公然の秘密です(注7).
(注7)2003年に元イタリア首相のダレーマ(Massimo D'Alema)は,その数年前にシャロンがローマを訪問した時に,シャロンが「バンツースタン・モデルは,パレスティナ人との紛争を解決するために最も適切だ」と語ったことを暴露した.
セイモア・M・ハーシュ著『サムソン・オプション』(文芸春秋,1992/2/1)を見ても,おおむねそのような流れの記述となっている.
ガーディアン紙等という明確なソースが上述文章には存在することも考え合わせれば,上述文章は信頼性が比較的高いと愚考する.
【質問】
質問させていただきます.
セイモア・M・ハーシュ著『サムソン・オプション』(文芸春秋,1992/2/1)には,イスラエルがディモナに原子炉を極秘裏に建設した際,それに秘密裏に協力していたフランスとの協定によれば,最大熱出力2万4千キロワットとなっていたにも関わらず,冷却ダクト,廃棄物処理施設などの仕様を見れば,その2〜3倍の出力で運転できるものになっていて,フランス人技師を愕然とさせた――というくだり(p.58)があります.
そこで疑問に思ったのですが,原子炉というのは予定最大熱出力ぴったりに建設するものなのでしょうか?
余裕を見て建設をしたりはしないものなのでしょうか?
【回答】
結論から先に言うと,
「その原子炉の性格に依りけり.
普通は安全上・運用上で合理的な余裕を持たせた上で,ぴったりの物を作る.
ただし,冷却系や廃棄物処理施設には余裕を持たせることもあるが,あまりに不合理だと,IAEAなど国際社会から疑念の目で見られる可能性がある」
というのが正確なところかと愚考します.
例えば商業用の原子力発電所の場合,目標とする電気出力が得られるようにきっちり作りますが,それ以上の余裕という物は,安全・運用上の余裕
(日本の場合,安全解析上では,余裕を持った保守的な物とするため,多くは定格熱出力の「105%」を前提に解析を行い,安全であることを確認します)
以上の物は,その分建設・運転・維持コストがかさむだけで,目的とする電力の生産においては,宝の持ち腐れとなるだけです.
そのため,適度な余裕を持たせますが,基本的には過不足無く,ぴったり作るのが普通です.
それでも,大幅な増出力を行うためには,原子炉廻りを相当いじるだけではなく,蒸気タービン発電機など大物を置き換えるような大規模な工事が必要となるため,米国のように本腰を入れ,大々的にやっても,現在までの実績において,せいぜい20-30%位の増出力が,経済上等から限界となっています.
そのため,安全上,また運転尤度上,十分な余裕を持たせますが,冷却系に2−3倍も馬鹿みたいな余裕を持たせたりすることは,通常の思考形態ならありませんし,かえって
「何か裏があるのではないか?」
とIAEAなど国際社会から疑念を持たれる可能性すらあります.
ただし廃棄物処理施設に限っては,商業用原子力発電所であっても,新規技術の導入などの不確定要素や,運転上の自由度を持たせるためや,過去の分の追加処理を行うため,かなりの余裕を持たせた設計にすることもあります.
廃棄物処理施設でこけると,原子炉など本体はぴんぴんしているにも関わらず,廃棄物処理が追いつかないために運転できないなど,大きく足を引っ張ることが起こりうるためです.
一方,研究・実験炉(軍事用プルトニウム生産炉も含まれると考えるべき)の場合,多少事情が異なります.
以前「ウラン使用?の新型爆弾」の項でも収録させていただいたのですが,「イスラエルの原子力開発と原子力施設」については,
http://www.atomin.gr.jp/atomica/14/14070301_1.html
(参照先urlが変更となっていますので注意願います)
を併せてご参照ください.
ディモナにあるのは
>b)ネゲブ原子力研究センター(所在地:ディモナ)
>フランス製IRR−2(熱出力25MW,天然ウラン・重水減速炉,1963年12月臨界)
という,一風変わった原子炉です.
こちらの方はIAEAの保障措置対象外であること.また,重水減速炉で天然ウランを核燃料として採用するなど,端から見れば「軍事転用やる気満々」のものです.
それでも,純粋に実験・研究炉として用いた場合,この手の原子炉は原子炉側に相当に安全余裕があるために,増出力が比較的容易です.
一方,原子炉は一度運転してしまえば,時間の長短はありますが,使用済の核燃料を全て取り除くまで,冷却系の運転はまず中断できないことなどが制約点としてあります.
そのため,増出力を視野に入れている場合は,その分余裕を持った作りにしていても,当面の経済性(また国際的な疑念等)は無視し,先行投資をしたと考えれば,それほどおかしくありません.
また,これは発電用原子炉ではありませんので,タービン発電機などの大物はなく,それを受け止めるだけの冷却系が強化されていれば,比較的容易に増出力を達成できる物です.
そのため,まずは低い定格熱出力を設定しておき,運用などの体制が確立したら,一気に本性を現して,大幅な出力増加を行う.そして,併せて軍事転用のスピードを高める,というシナリオをイスラエルが描いていても,全くの夢物語ではない,と愚考します.
ただし,あくまでも「IAEAの保障措置対象外」のため,真相は闇の中です.
恥ずかしながら,私自身は『サムソン・オプション』の原文を読んでおらず,その中の記載が真実であるか(信用に足るか)どうかは判断できませんが,核兵器の生産能力を推測できうるなど非常に機微な部分であるだけに,少なくともイスラエルが自ら真相を明らかにすることは無いと考えます.
ただ,上記のことから,ことイスラエルのネゲブ原子力研究センターのフランス製IRR−2においては,ご質問のようなフランス人技師を愕然とさせることが行われていても,例外中の例外として不思議ではない,と愚考します.
(注記:ここで言う「冷却系」とはあくまでも常用の物です.
非常用の物は安全性を担保するために,必要とする能力を持った物を複数用意(多重性・冗長性確保)するのが普通ですので,その点はご注意願います.)
以上,ご参考まで.
【質問】
>多くは定格熱出力の「105%」を前提に解析を行い,安全であることを確認します.
とありましたが,〔略〕105%程度で,事故への対応は十分なのでしょうか?
消印所沢 by mail
【回答】
まず基本的に,105%というのは,事故(異常)がスタートする時点の厳しめに見た前提条件であり,
「定格熱出力の105%分しか,出力超過に対応できないという訳ではない」
ということを,まずご理解いただけたらと考えます.
〔以下略〕
へぼ担当 by mail
【質問】
イスラエルの核開発が世間に洩れたのはなぜか?
【回答】
一人の技師のリークによる.
イスラエル南部ネゲブ砂漠のディモナにある原子力研究センターで9年間技師を務めていたモルデハイ・バヌヌは,1986年,英紙サンデー・タイムズに,盗み撮りした写真や見取り図とともに
「同センターが原爆秘密工場になっている」
と暴露.
これを元に同紙は,同年10月,
「イスラエルは100発以上の原爆を保有している」
などと詳報した.
同紙への証言の直後,バヌヌはモサドに拉致されてイスラエルに連れ戻され,国家反逆罪およびスパイ罪で有罪判決を受けた.
2004/4/21,バヌヌは釈放されたが,ポラズ内相は19日,バヌヌ氏の出国を1年間禁止すると発表.地元紙によると,イスラエル政府はこのほか,バヌヌ氏が電話やインターネットを使って外国人と接触することや,許可なく国内を移動することも禁ずる方針.
詳しくは,読売新聞,2004/4/21を参照されたし.
なお,2004/11,バヌヌは再逮捕された.
まあ,予想はしていたが.
【珍説】
IAEAは,一度たりともイスラエルの核査察をしようとしなかった,米国の手先!
【事実】
イスラエルは核拡散防止条約に入っておらず,IAEAと保障措置協定を結んでいないのだから,IAEAが査察を行う権限なんてありません.
JSF in mixi支隊
IAEAとの保障措置協定の有無は,AEAが査察を行うためには致命的なポイントとなります.
逆に保障措置協定に定められていないことは,締結国はそれに従う必要は少なくとも国際法令等上はないことになります.
そのため,保障措置協定の内容が重要となる訳で.
職務上,保障措置協定の詳細を知る立場にありますが,これがまた議論を呼ぶところでして.査察を受ける現場では友好的な雰囲気の中でも,丁々発止の厳格なやりとり(IAEA側が協定以上の要求をすることは茶飯事)が行われているのは,関係者の中で広く知られていることだったりします.
以上,実務現場からご参考まで.
へぼ担当 in mixi支隊
【質問】
「イスラエルがスーツケース型の核爆弾を開発し,それをソ連にこっそりと教えたことで,ソ連が大人しくなった.
だから核兵器は開発すべきだ」
ということを,某ネットラジオで聞きました.
私は単純に,ソ連がイスラエルをとんでもないDQN国家と認定したからこそ大人しくなった,軟化したと解釈しているのですが,その認識でいいのでしょうか?
核兵器を持っている=強い,だからイスラエルを一目置いたのではなく,単純に
「こいつはヘタしたら何をするか分からないキ○ガイだ」
と思ったからだと思うのですが.
http://members.at.infoseek.co.jp/konrot/netradio.html
↑これがそのネットラジオです.
【回答】
いや,イスラエルはその周辺国家に比べれば遥かに良い国ですよ.
あの一帯で唯一,民主主義が機能している国家なんですから.
少々日本マスコミの報道に流されておられるのではないですか?
むしろDQNなのはその周辺国のほうで,特に北のシリアは北朝鮮と比べて勝るとも劣らないDQNぶりです.
確かに過激な反応をする事もありますが,日本が陸続きで北朝鮮と国境を接している場合を想像して下さい.しかも四周とも全部.
イスラエルはそういう状況下にあるのです.
ヤンさんが聞いたというラジオですが,内容からして当てにならないかと.
核兵器を持ってたからといって一目置かれるとは限りません(北朝鮮参照)し,ソ連(当時)にしたところで,イスラエルの核兵器が自国に向けられるわけではない(運搬手段や,報復合戦になった場合の損得勘定など)ことは承知していたと思うのですが,どうでしょう?
とりあえず,P・W・シンガーの「戦争請負会社」辺りを読んでみてください.
シエラレオネとかの例が出てきますが,北朝鮮さえかなりマトモな国家に見えます.
イスラエルのスーツケース型核爆弾について.
核兵器は小型化しようとすれするほど,核爆発実験によるデータが必要となる――たとえばフランスはCTBT加盟直前に核実験を行って世界中の非難を浴びたが,これは新型の多弾頭核ミサイルの開発にどうしても実験が必要だったから――ので,実験回数が圧倒的に少ないイスラエルがスーツケース型額爆弾を開発できるとは,ちょっと考えづらいと思います.
まあ陰謀論的には,「アメリカが教えたんだ」とかいくらでもこじつけられますけれども.
軟化したのは,むしろエジプトとかの中東諸各国(サダトなんかがいい例です)であって,彼らが「イスラエルの撃滅ムリポ」と認識したからこそ,一応あの辺はイスラエルvs中東のガチ戦争が無くなりました.
イスラエルが,というよりも,他の国がイスラエルとの全面戦争を回避するようになったと言う認識が正しいかと.
それと,ソ連・アメリカともに,オスロ合意などを見るとおり,一応あの辺が荒れないように注意はしています.(全面解決はどっちにしろ無理ですけど)
ネットラジオ「Doronpa」って,何処かで聞いた事がある名前だと思ったら,ジェネジャンに出てたあの人か.
そりゃ軍事知識は皆無というか,ハン板住人でしょう,あの人.
▼ Doronpa氏について,ハングル板の人との指摘がありますが,そこでは最近見かけてないです.
それよりも『嫌韓流実践ハンドブック 反日妄言撃退マニュアル』(晋遊舎,2006.2)等の著書を紹介したほうがよいのでは?
自分の感想として,軍事に関する知識は大したこと無し.
それ以外の事実関係は多分それほど間違い無いだろうが,あまりに下品.
なお,桜井誠=Doronpaであることは著書に書いてあるので,プライバシーの暴露では無いです.
軍事に詳しくないと思った部分を,著書から指摘します.
『嫌韓流実践ハンドブック2 反日妄言半島炎上編』(同,2006.9),P.47の,F15Kについて触れた部分.
--引用開始--
世界の軍事関係者からは
「型落ちの中古品を売りつけられた間抜けな韓国」
として嘲笑の的になっている.
--引用終了--
◆◆シリア
【質問】
シリアは核兵器を開発しているのか?
【回答】
kojii.net別館ブログ,09/24/2007付によれば,公然の核研究としては,シリアは中国の支援を受けて
Dayr Al-Hajar に小型研究炉を設置しているが,これはIAEA
の監視下にある上に,兵器グレードのウラン燃料は扱えないという.
ところが,それとは別に,シリア国内に秘密核施設があるという話がイスラエル発で出ているという.
北朝鮮が濃縮ウランの製造を,制裁対象外の
シリアにアウトソースしたのではないか,という話.
さらに韓国の Yonhap news agency が,シリアのミサイル技術者が北朝鮮で訓練を受けていると報じている.
詳しくは同ブログを参照されたし.
同ブログはJDWをソースとしており,誤訳の心配も少なく,信頼性は高いと愚考する.
【質問】
この動画プレゼンテーションの中にある,シリアが建設中のガス冷却式黒煙制御原子炉(過去35年間,北朝鮮しか建設したことない)とは,どんなものなのか?
【回答】
動画プレゼンテーションでは,そこまではっきりうたっていませんでしたが,典型的な「黒鉛減速炭酸ガス冷却炉(GCR)」ですね.
にGCRというと英国のMAGNOX炉が代表例であり,その最終号機である英国のWYLFA-2(ウィルファ2号機)の営業運転開始は1972年1月(出典:日本原子力産業協会 世界の原子力発電開発の動向
2006年次報告)ですので,きっちり「過去35年間,北朝鮮しか〜」と符合します.
また,過去の北朝鮮核施設における映像における特徴(核燃料に金属製冷却フィンが付いている)とも完全に一致します.
同型炉の最大の特徴は,
(1) 多大な手間と技術が必要なウランの濃縮工程を必要とせずに,「天然ウラン」をそのまま核燃料として使用できるため,比較的開発・運用が容易なこと.
(2) 原子炉を運転しながら「早期の適切な時期」に原子炉から核燃料を取り出すことにより,核兵器用として理想的な性質のプルトニウムを生成させること「も」可能なことが挙げられます.
<これは運転方法の問題であり,まともに発電する気なら早期に取り出すことはせず,技術的に合理的な範囲でめいっぱい燃やすのが通常です.
一方,最大の欠点として「黒鉛減速(炭酸ガス冷却)」のため,どうしても熱出力の割に原子炉が巨大になってしまうことがあり,核燃料に「天然ウラン」を使用する際の限界も相まって,商用発電用原子炉としては一般の軽水炉(BWR,
PWR)より経済性に劣ることが挙げられます.
そのため,GCRを商用発電用原子炉として採用した元祖の英国でもWYLFA-2を最後に,その後はその改良型であるAGRに移行しています.
そして,現在の状況ではGCRを商用発電用原子炉として採用する国は皆無であり,今後も現れることはないと考えられます.
よって,そうした原子炉を作る国が現在に現れるとすれば,それはすなわち「核兵器開発」を意図する以外に合理的な理由がない訳で.北朝鮮にしてもシリアにしても,その意図が見え見えということが指摘できます.
以上,解説代わりとして,ご参考まで.
シリアと北朝鮮寧辺の5MW原子炉の技術的評価について
既にご紹介のあったとおり,アメリカ中央情報局(CIA)が米議会に公開した,北朝鮮の寧辺にある5MW原子炉と同一の核設備が,シリアの核施設に設置されていたという事実を立証する内容の動画が,24日(現地時間)ワシントンポスト(WP)のホームページに掲載された件ですが,日本語で読むことの出来る情報が以下に掲載されています.
Daily NK - 米 CIAが公開した‘北-シリア核協力’の動画
http://www.dailynk.com/japanese/read.php?cataId=nk03200&num=2202
また,先にこの「黒鉛減速炭酸ガス冷却炉(GCR)」の概要についてごく簡単に説明しましたが,より詳しくはATOMICA(現在メンテナンス中につき一時閉鎖中のため,引用はミラーサイトから)に以下の通り説明されておりますので,ご一読ください.
原子力百科事典 ATOMICA
黒鉛減速炭酸ガス冷却型原子炉(GCR)
http://219.109.2.236/atomica/02/02010106_1.html
以下では簡単に,発電用GCRの代表例である英国MAGNOX炉と比較する形で,シリアと北朝鮮寧辺の5MW原子炉の技術的評価を行おうと考えます.
---原子炉容器(Reactor Vessel)(炉型によっては原子炉圧力容器Reactor
Pressure Vesselと称する場合有り;主にBWR)の構造から伺える技術的限界---
先の動画では,「シリアと北朝鮮寧辺の5MW原子炉」の構造として,原子炉容器が「鉄(通常なら炭素鋼)を内張にして,強度は鉄筋コンクリートで持たせた円筒形」である特徴が挙げられているが,これは非常に多くの示唆に富むものと考える.
発電用GCRの代表例である英国MAGNOX炉でも,初期のコールダーホール発電所は円筒型炭素鋼製原子炉容器であったが,コールダーホール改良型の東海発電所は球形炭素鋼製原子炉容器であり,実績としては半々とのこと.
純技術的な考えでは以下の通りとなる.
a.構造力学的には容易に想像できるように,円筒形より球形のものが丈夫.
b.ただし,物作りの観点からは,平板を一方向に曲げるだけで済む円筒形の方が,球形より簡単に作ることができる.
よって,球形の方が技術的に優位であることは,工学者から見れば誰の目にも明らかであったが,当時の制作技術
(特に原子炉容器を構成する「分厚い(肉厚の)炭素鋼製(ここが最大のポイント)」大型圧力容器の制作技術)
の限界から,初期は円筒形であり,実績を積み重ねていく中で,球形に改良されていったものと言える.
工学的な面から言えば,「分厚い(肉厚の)炭素鋼製」大物構造物の制作技術というのが,大きな注目点である.
造船技術のように薄い鋼であれば,大物構造物であっても,曲面や球面への加工,溶接技術も比較的容易であるが,原子炉容器のような圧力容器に用いられる「分厚い肉厚物」の大物構造物の制作・加工・溶接技術は並大抵のものではなく,現在においても非常に困難なものである.
<なお,日本の最初の商用原子力発電所である日本原子力発電鞄穴C発電所の建設においても,この点で大変な苦労を経験している.
また,蛇足となるが,現在においてこのような「分厚い肉厚物」の製造技術を持つメーカーはごく限られており,原子力級の信頼性を持つ素材供給メーカーは日本のとある1社
(ちなみに自衛隊装備品メーカーとしても,ある分野の独占供給で有名)
の完全な独壇場であり,海外含め,その追随を許すものはない.
そのため,当該原子炉のような北朝鮮核施設においても,理想は全炭素鋼製の原子力容器であったが,先に挙げた肉厚大物構造物の製造技術をもたないために,製作の容易な円筒形の「炭素鋼内張鉄筋コンクリート製」原子炉容器となったことが,容易に指摘できる.
これは以下の意味で,当該原子炉の技術的限界を示す重要なポイントである.
a.当該原子炉の大型化の限界について
黒鉛減速炭酸ガス冷却炉(GCR)は原子炉物理学上の原理上の特性から,一般的な軽水炉に比べ,どうしても原子炉の熱出力の割に原子炉本体が巨大になる.
そのために経済性に劣り,現在では商用発電用として,この種の原子炉が建設されることは「まずあり得ない」ことは前述した.
それに+αして,この程度の大きさですら「炭素鋼製原子炉容器を制作できない」技術レベルであるから,「これ以上の大型化・高性能化(要は出力増大)も困難」とも言える.
<正確には「炭素鋼製原子炉容器を制作できない」から,製作の容易な「炭素鋼内張鉄筋コンクリート製原子炉容器」に走ったといえる.
本来なら,それによって技術的なハードルが下がるため
(要は普通の鉄筋コンクリート製建物を大きくするのと,さほど変わりなくなるため),
より大型の原子炉容器を作成し,より多くの核燃料を装荷することで,原子炉の熱出力を高め,プルトニウム生産能力を増大させるのが可能であるはずだが,この規模止まりとなったことが注目される.
これが初めての原子炉建設であったことや,目的とするプルトニウム生産量の目安を達成できるために「この程度に抑えた」のなら,また別の話であるが,状況から言って「この程度が彼らの技術的限界」と見るのが自然である.
b.当該原子炉の高性能化(出力増大)の限界について
黒鉛減速炭酸ガス冷却炉(GCR)の代表格である英国のMAGNOX炉では,鋼製の原子炉容器を採用している.
一方,当該原子炉では「炭素鋼内張鉄筋コンクリート製」の原子炉容器を採用している.
この違いは,同じ体積の原子炉から取り出せる熱出力に大きく作用する.
ごく常識論だが,炭素鋼の場合ではある程度の高温にも耐えるが,コンクリート構造物の場合,特殊な配慮をしなければ,ある一定の温度を超えると大幅にその強度が劣化するため,通常のコンクリート「だけ」では,高温に耐えうる構造物を構築することが出来ない.
<このことは「コンクリートは水の固まり」と評されることや,火災時にコンクリートが比較的容易に割れてしまうことからも,理解されることと考える.
典型例として,英国MAGNOX炉の最終号機であるウィルファ2号炉の設計要目は
http://219.109.2.236/atomica/pict/02/02010106/03.gif
に挙げられている通りであり,炭酸ガスの原子炉出口温度は414℃に設定されている.
<これはまた別の問題で上限が規定され,その上,ウィルファ2号炉では原子炉容器に「ある特殊な構造(シリアや北朝鮮の当該原子炉にはその様子が見受けられない)」の,炭素鋼内張のプレストレスト・コンクリートを採用しているが,難解な上に話がそれるため,ここでは省略する.
一方,シリアや北朝鮮の当該原子炉のように,炭素鋼の内張があるとはいえ,それを単純な鉄筋コンクリートで強度を持たせるような,一般的な建築物に極々ありふれた構造では,
「そこまでの高温には耐えられない」
と考えるのが普通である.
よって,当該原子炉出口における炭酸ガスの温度に,大幅な制限が加わり,ついては当該原子炉の限界
(熱出力,ひいてはプルトニウム生産量)
を規定するものと考えられる.そのため,前述の大型化への展望も含め,大きな技術的障害となっているものと推測される.
ぶっちゃけた話,もう少しまともな構造をしていれば,当該原子炉から蒸気発生器
(注:熱交換器(Heat Exchanger)から大幅に改良する必要有り)
を経て,水蒸気を発生させることで,小規模にすぎるとはいえ,蒸気タービン発電機を駆動して,原子力発電所を構成することも可能だったはずであり,それにより核開発懸念への反論(?)ともなり得ただろう.
しかし,その必要の有無は別としても,とても技術的にそこまで耐えられなかった,との解釈が状況から考えて自然である.
<熱交換器と蒸気発生器(SG ; Steam Generator)は工学的・技術的には似て非なる代物であり,工学的・技術的なハードルは蒸気発生器の方が遙かに高い.
よって,当該原子炉の場合,北朝鮮寧辺では「たかだか5MW」ではあるが,以上を勘案すると「現状,彼らの技術ではそれが精一杯」ということが,ある程度の確度を持って評価することが出来る.
以上,ご参考まで.
へぼ担当 by mail
〔それにしても,〕この動画プレゼンテーションはよくできてます.
建設中のガス冷却式黒煙制御原子炉の写真とか,シリアと北朝鮮の高官が一緒に写っている写真とか,CGで再現された原子炉とか.
CIAとモサドの本気度が伺えます.
【質問】
イスラエルはなぜシリアを空爆したのか?
【回答】
「面白きこともなき政治を面白く」,2007/09/17
22:00付によれば,真相はまだ不明だが,核施設を重大な脅威と判断して空爆したのではないかと見られている.
同ブログで引用されている海外報道によれば,
U.S. Confirms Israeli Strikes Hit Syrian Target Last Week
(NewYorkTimes 2007/9/12)
Officials in Washington said that the most likely targets of the raid were weapons caches that Israel’s government believes Iran has been sending the Lebanese militant group Hezbollah through Syria. Iran and Syria are Hezbollah’s primary benefactors, and American intelligence officials say a steady flow of munitions from Iran runs through Syria and into Lebanon.
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Israeli Official Muzzled on Syria Attack
(washingtonpost.com 2007/9/16)
John Bolton, the former U.S. ambassador to the U.N., told Israeli Channel 10 TV he thought Israel might have been attacking a nuclear installation, "a message not only to Syria, but to Iran."
"I think it would be unusual for Israel to conduct a military operation inside Syria other than for a very high value target, and certainly a Syrian effort in the nuclear weapons area would qualify," Bolton said in an interview broadcast Sunday.
<同ブログによる部分翻訳>
イスラエルが高価値な目標以外でシリアに軍事行動を行うとは考えにくく,核兵器分野でのシリアの努力はその目標に値するだろう.
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また,同ブログで紹介されていた,平成床屋談義スレッド(現在part20),およびそこに載ってたイェルサレムのTVニュースのうpサイト
http://www.infolive.tv/node/12385
によれば,
0)北朝鮮の支援でシリアが核施設を建設中との情報を6ヶ月前に入手
1)イスラエルはアメリカ政府に連絡したが,アメリカは懐疑的
2)イスラエルは軍事衛星の写真偵察目標をシリア北部に変更,調査開始
3)偵察写真から北朝鮮とのリンクが確認された
Korea, Syria May Be at Work on Nuclear Facility
(washingtonpost.com 2007/9/13)
North Korea may be cooperating with Syria on some sort of nuclear facility in Syria, according to new intelligence the United States has gathered over the past six months, sources said. The evidence, said to come primarily from Israel, includes dramatic satellite imagery that led some U.S. officials to believe that the facility could be used to produce material for nuclear weapons.
4)8月中にイスラエル閣議が6回開かれて対応を検討
5)9月3日に北朝鮮の船がシリアに入港
6)9月4日,イスラエルの緊急対策閣議,攻撃決定
7)9月5日,特殊部隊員がシリア北部の「農業研究所」にむけて侵入開始
8)9月6日未明,爆撃用のF15とエアカバー用のF16等が出撃,地上隊員が目標をレーザー・ポイントして空爆成功
とのこと.
また,kojii.net別館ブログ,09/24/2007付がJDW等をソースにして述べているところによれば,やはり,これは件の秘密核施設がターゲットだったという話があるという.
もしもシリアが核兵器を手に入れれば,イスラエルにとってはおおごとであり,イスラエルは最近,シリア上空に航空機を侵入させて偵察飛行を行っていた,とする報道もあるという.
「kojii.net別館ブログ」,09/25/2007付では,JDWをソースとして,以下のような経緯詳細を載せている.
それによれば発端は,3 月初めに Mossad 長官の
Meir Dagan 氏が Olmert 首相に対して,件の施設に関する情報をもたらしたこと.
当初は懐疑的な人もいたが,7 月になってさらに証拠が集まり,8
月にはイスラエル政府が合計 6 回の会議を実施して対応策を検討.
9/3 に,核物質を積んでいるらしい北朝鮮の貨物船が韓国船に偽装してシリアの
Tartous に入港,「セメント」と称する貨物を荷下ろしした.
それを受けてイスラエル政府は緊急会議を実施,実力行使に乗り出したという.
9/4晩,レーザー目標指示器でターゲットを照射するため,コマンドー部隊を現地に潜入させた.
続いて,爆装した F-15I×4 機と護衛役の
F-16×4 機,それと支援にあたる Eitam G550
AEW&C 機が発進.ユーフラテス川沿い・イラクとの国境から
50 マイルほどのところにある現場を爆撃したという.
同ブログではまた,上記情報を元に,「世界でもっとも稠密な防空網がある」といわれている,ダマスカスをかすめるルートをさけるため,往路はいったん西に向かい,地中海に出てからシリア国内に侵入した可能性に言及している.
さらに,この攻撃はトルコ軍の協力で行われたという報道もある.
シオンとの架け橋 イスラエル・ニュース
*イスラエルのシリア攻撃はトルコ軍の協力で行われたと,クウェート紙が報道.トルコ軍はシリアの軍事施設の情報をイスラエルに提供していたという.トルコのエルドアン首相は知らなかったもよう.(P)
*北朝鮮がシリアに核技術を提供していたとの報道.北朝鮮は,近年の米国との交渉の中で「シリアやイランに核技術を拡散する」と,米国を脅していたことが判明した.(P,H,Y)
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Korea, Syria May Be at Work on Nuclear Facility
(washingtonpost.com 2007/9/13)
In talks in Beijing in March 2003, a North Korean official pulled aside his American counterpart and threatened to "transfer" nuclear material to other countries. President Bush has said that passing North Korean nuclear technology to other parties would cross the line.
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上述のkojii.net別館ブログはこの点について,
「F-15I が投棄した増槽がトルコ国内・シリアとの国境近くに落ちていた」
といった話が報じられており,写真も出回っているとのこと.
さらにまた,「週刊オブイェクト」,2007/9/24付は,この攻撃に先だって,イスラエル特殊部隊がシリアの北朝鮮核物質を奪取したとの未確認情報を伝えている.
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最初に断わっておきますが,これはまだ確定した情報とは言えません.
イスラエル特殊部隊,シリアの北朝鮮製核物質を奪取か
2007年09月23日 13:13
【9月23日 AFP】9月6日のイスラエル軍によるシリアの秘密軍事施設への空爆直前に,イスラエル特殊部隊が潜入し,核物質を奪取していたと,23日付けの英週刊紙サンデー・タイムズ(Sunday Time……
≫続きを読む
(c)AFP/ImageSat
Israelis seized nuclear material in Syrian raid
[9/23 The Sunday Times]
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Israeli commandos seized nuclear material of North Korean origin during a daring raid on a secret military site in Syria before Israel bombed it this month, according to informed sources in Washington and Jerusalem.
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今のところ,サンデータイムズしか報じていませんし,「ワシントンとエルサレムの情報消息筋」といったあやふやな情報源です.
とても確定情報とは言えませんが,事実ならば大変な事態です.
とはいえ,今回のイスラエル軍の作戦については奇妙な事ばかりで・・・
シリア核:「イスラエルが攻撃」の欧米報道巡り謎の緊張
[9/19 毎日新聞]
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シリアを巡り「不可解」な緊張が高まっている.同国が今月初め,イスラエル軍機による領空侵犯を公表したことが発端だが,その後,両国が沈黙する中で欧米メディアが「イスラエルがシリアの『核関連施設』を攻撃した」と報じ始めた.
核開発で北朝鮮がシリアに協力したとの憶測も流れ,混迷する中東情勢を反映した「情報戦」の様相も呈している.
シリアが領空侵犯を公表したのは6日.同軍機が「爆発物を投下した」としたが具体的な被害も場所も特定しなかった.
真相が不明な中,北朝鮮が11日,イスラエルを非難する異例の声明を発表.これを機に欧米メディアのシリア・北朝鮮関係の報道が過熱した.
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真相についてイスラエルもシリアも殆ど口を開きません.
アメリカもです.
そして何故か突然,北朝鮮がイスラエルを非難するといった行動に出ます.
イスラエルがシリアに対し,何らかの軍事作戦を行った事は確かでしょう.
そして北朝鮮が非難してきたのは,その事に関係していたのではないか・・・核兵器や化学兵器,ミサイルなどの北朝鮮関連物品ではないか・・・
今のところ,全て憶測です.
既に情報戦の様相を呈し,怪情報も飛び交っている筈です.
そんな中でイスラエル軍特殊部隊による核奪取作戦の報は,俄かには信じられません.
イスラエルはシリア空爆を実行した=ネタニヤフ元首相 (AFP=時事)
US confirms Israeli air strike on Syria [9/12 Telegraph]
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The closest it came to acknowledging the affair happened was when it made an undertaking to Turkey to investigate how an Israeli long-range fuel tank was dropped on Turkish territory near the Syrian border.
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しかし,空爆は事実のようです.
侵攻ルートにトルコ上空を選んでいたらしく(爆撃目標自体がトルコ国境近く),トルコ領内でイスラエル空軍のF-15I戦闘機の増槽(落下タンク)が発見されています.
イスラエル空軍がシリアを空爆する事自体は,ヒズボラ叩きの名目でよくある事です.
珍しい事ではありません.
しかし,今回のように徹底した緘口令が敷かれる,
しかも被害側のシリアまで詳細を語ろうとしない,
アメリカも沈黙,
北朝鮮が何故かイスラエルに怒っている・・・
謎は深まるばかりです.
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なお,本項目は続報を見つけた際に,おりに触れて更新予定.
【質問】
アレッポ秘密化学工場爆発事件とは?
【回答
kojii.net別館ブログ,09/24/2007付によれば,2007/7/26,シリアの Aleppo 北方にある秘密工場でマスタードガスを弾頭部に積んだ
Scud C (射程 500km) のテストをしていたときに起きた爆発事件.
隣接する研究施設から化学兵器保管施設にかけての一帯で,シリア人15名とイラン人数ダースほどの死者が出たほか,爆風で
VX やサリンなどが散乱して多数の重傷者が出た.
その結果,このプロジェクトは頓挫中.
同ブログによれば,爆発が起きたのが午前
4 時半で気温が低いため,高温に起因する自然発火の可能性は薄く,人為的な爆発ではないかという見方があるという.
詳しくは同ブログを参照されたし.
同ブログはJDWをソースとしており,誤訳の心配も少なく,信頼性は高いと愚考する.
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