それは雛見沢という村の中にある小さな小さな幸せでした。

誰もがその幸せが続く事を望んでいます。

 

それは雛見沢という村の中にある小さな小さな感動でした。

誰もがその感動を感じる事を望んでいます。

 

なら何故どの雛見沢という幸せな村には未来がないのでしょうか?

それは雛見沢の未来を望んでいない誰かがいるからでしょう。

 

 

出張!奇跡を運ぶ道化師

 

 

「…………何故だ」

俺は頭を抱えながら苦悩する。

何故こんな事になってしまったのかわからない……。

「かぁいいよ〜☆ 祐一さん凄くかぁいい、お持ち帰り〜♪」

お陰でレナがなんか凄いやばいことになってるし……、

「あっはっはっは〜!! 相沢さん似合いすぎだって〜!!!」

魅音はさっきから笑いっぱなしだし……、

「あ、相沢先生……、本気で似合ってますって」

圭一は圭一で何故か凄い感心してるし……、

「お、おほほ〜、素直に馬鹿に出来ない完成度ですわね……」

沙都子ちゃんは冷や汗を流しながらも無理矢理笑ってるし……、

「みぃ〜☆ 祐一とっても可愛いですよ〜」

梨花ちゃんは嬉しそうに俺の背中に引っ付いてくるし……、

まさかこんなことになるなんてな、あぁ……騙された。

 

 

「今日の部活は簡単なジジ抜き、ルール説明もいらないね?」

魅音はそういながら手馴れた手つきでトランプをかき混ぜ始める。

う〜ん、まだ正式やるとは言ってない気もするけどまあ…いいか。

「それじゃあ配り終わったね? ……順番は時計回りで行くよ、相沢さんは初心者だから今回は最初を譲るよ」

「ん、サンキュー」

っということは俺→圭一→魅音→レナ→梨花ちゃん→沙都子ちゃん→俺っていう順番か。

まあジジ抜きなんて戦略らしき戦略なんて何もないゲームだしな……、適当に流すか。

「んじゃ圭一ー、カード取るぞー?」

「ういっす! それじゃあどうぞ」

圭一はそういって俺の前に扇状にトランプを広げる。

まあ右端でいっか、お?3が揃った。

んじゃ捨て場に出してっとこれで俺の番は終わりー。

その後は普通に流れていく、揃った者、揃わなかった者はまちまちだ……そして俺の番になってまた引く。

「………ん?」

また揃った、結構調子いいな。

しかしなんかさっきからみんなの様子がおかしい。

人のカードをジーッ見て何かを確認しているような?

「………なんかこのカードって結構ぼろぼろだな」

「そうですかー? 気のせいっすよー」

圭一はにやにや笑いながら何かを誤魔化しているように見える。

他の連中を見ても同じように微妙な笑い方をしている……、なんていうか哀れそうに。

……まさかこいつら。

「ガン牌トランプって事か……、面白いじゃん」

「へー、もう気づいたんだ…でも今更気づいてももう遅いですよ?」

「部活の会則で「勝つためにはどんな手段も厭わない」っていう方針なんですよ」

そういって魅音と圭一は不敵に笑う。

……最初からハメる気満々だったって事か、上等だ。

遊びの鬼、祐ちゃんスペシャルを見せてやろうじゃないか。

このゲームを制すには……まず将じゃなくて馬から射る!

「圭一! 急にお腹がもようしたぞ!? 連れ添いでトイレだー!!!」

「はいぃぃぃ!? うわ、ちょ、ちょっとーーー!?」

俺は圭一の手を引っ張りながら教室の外に出る。

「………意外と行動派ですのね、相沢さんって」

……沙都子が呆然と過ぎ去った嵐の後を見ていた。

 

 

「いや〜、ただいま〜!」

「おう! 魅音!! 早速部活を再開しようぜ!!!」

俺と圭一はトイレから仲良さげに肩を組んで帰ってきた。

その怪しい行動を見て魅音達はやはり怪訝そうな顔でこっちを見ている。

……ふふふ、しかしもう遅い、貴様らの敗因は俺を怒らせた事さ!

「何の策があるのか知らないけど負けるわけにはいかないねぇ」

そういって魅音は不敵に笑いゲーム続行を告げる。

――遅い、この時点でゲームを中断しなかった君の敗北だよ魅音君。

いくぜ……、圭一!!

 

「俺が欲しいのは……Aなんだよなぁ? これかな〜っと! あったり〜♪」

「いや〜、やりますねー相沢先生!」

「次は7でも頂くとすっかなぁ〜、これだ……っと」

「あちゃ〜、また取られちゃったかー!」

 

俺は圭一にトランプを受け取ると即座に捨て場にカードを送る。

すでに俺の残りのトランプは2枚のみだ。

ふふふ、我が秘策――羆割りの威力思い知ったか。

「………なるほど、そう来ましたか、相沢さん」

「え? どういうこと、魅ぃちゃん!?」

「ふふ、これは戦略というレベルではありませんわね、大胆不敵ですわ」

「…二人して共謀してますですよ?」

ふ、さすがに気づいたか。

そう、俺は別に高度なトラップなんて仕掛けてない。

俺はただ圭一に"欲しいカード"をもらっているだけだ。

方法は簡単、大きな声で圭一に伝えればいい。

「10がいいなぁ……、いや別に9でもいいかぁ〜」

俺がそういうと圭一はカードをシャッフルしたふりをして左端に10か9を移動させる。

つまりとっても簡単なイカサマだ、そう、これが大胆不敵「羆割り」だ!!

「ふふふ……、リーチだぜ?」

そういって最後の一枚をヒラヒラと魅音へと向ける。

ルール無用の部活動ならば我に敵なしってやつだな。

「やりますねぇ、相沢さん……、まさか圭ちゃんを味方につけるなんて」

魅音は注意深く俺の様子を見る、手負いの虎って所か……。

まだまだ手強いな、こりゃ。

「しかし、相沢さんがもっているのはハートの10! そして今残ってるのはクラブの10のみですよ?」

「そういうことですわー! つまりクラブの10を死守すればいいだけのことですわー!!」

くっくっく……、作戦がバレる事も計算済みさ。

ハートの10ねぇ……、そう思っている時点で俺の本当のトラップの餌食とも知らずに。

「クラブの10はボクが持っているのですよ?」

梨花ちゃんがそういいこちらにカードを見せる。

そのカード見た瞬間、魅音、沙都子ちゃんの顔が不敵に笑う。

つまりレナと沙都子に囲まれている時点で俺の勝ちは遠のいた、まだ時間はあると思ったんだろう。

甘い、甘すぎるぜ。

「んじゃ俺の番だな……、圭一、ラストトラップ発動だ!!」

「サー、イエッサー!!」

「これで……あがりだぁぁぁぁぁ!!!」

俺はそう叫びながら揃ったカードを場に出す!

――俺の作戦勝ちだ!!

「え? う、嘘!?」

「ど、どういうことですの!? 祐一さんのアガリカードは梨花が持ってますのに!!」

魅音と沙都子ちゃんは身を乗り出し捨て場のカードを見る。

……そこにあったのはハートの2とダイヤの2!!

「や、やられましたわぁぁ!! これは昔圭一さんがやったイカサマですわ!!!」

「………!? そういうことかぁ!!」

「…みー、祐一凄いのです」

「え? えぇ!? どういうことかな、かな?」

そう、俺の最後のトラップ…それは圭一が昔編み出した……偽造カードの術だ。

傷で判別するっていう今回のガン牌トランプ、見分けているのはカードの傷のみ。

ならば"カード自体に新しい傷"をつけてわからないようにしてやればいいだけなのだ!

最初のバレバレのトラップは最後の最後で発動する罠の為の布石……、これは見破れなかったようだな。

「俺の勝ちだな……魅音」

「くぅ……、まさか初心者にここまで手玉に取られるとはね…一生の不覚!」

「どうだ魅音! 俺と相沢先生が揃えば最強だぜ!?」

「そうだ! これが俺と圭一のスペシャルタッグの力さ!!」

圭一と俺は腕を組み勝利に酔う……。

しかしみんな結構ノリいいよな。

本気で悔しがったり笑ったり、なんか滅茶苦茶だけど楽しいやつらだ。

「では祐一は今回1位なので+1点なのですよ♪ 最後に点数が多いい人が負けなのです」

「へ? これって一回勝負じゃないの!?」

しまった……、それは大誤算だった。

 

 

一度ばれてしまったトラップがそう何回も効くわけがなく、その後はボロボロだった。

本気になった魅音の容赦ない攻撃の餌食となったり……、

沙都子ちゃんのトラップ返しにこれでもかというぐらいにはまったり……、

レナの冷静な手腕にボコボコにされたり……、

意外に抜け目ない梨花ちゃんに隙をつかれたりして最後にはビリになってしまった。

「ぐは……、えげつねぇー」

手加減なしかい、初心者に向かって。

「悪は最後に滅びるですわー」

沙都子ちゃんは高らかに笑いながら嬉しそうに俺の肩を叩く。

つーか、俺は悪ですか……、否定はしないけど。

「まあいいや、結構時間食ったなぁ、んじゃそろそろ帰ろうぜ?」

俺はそういいながら教室の窓を見る、もうすっかり夕暮れだった。

明日は学校は休みなんだよなぁ、早く帰って本来の目的を果たさす準備をしなくっちゃな……。

まあ具体的にまだ何をすればいいのかなんて何もわかってないんだけど。

「おっと! ちょっと待ってくださいなぁ?」

そういって魅音が俺の進路をふさぐように立つ。

「ん? 何だ何だ?」

「おっほっほっほ〜、祐一さん…罰ゲームですわよ?」

……はい?罰ゲーム?

「部活で負けた人は罰ゲームなんですよ♪ はぅー☆」

そういいながらレナは俺の腕を握る。

何か知らんけどレナ、滅茶苦茶力強いんですけど?

「み〜☆ 魅ぃ、祐一の罰ゲームはアレがいいのですよー」

「ん? あぁ、アレねー」

魅音は邪悪そうに笑いながら梨花ちゃんの意見を聞く、何だってんだ?

「あ、アレってアレかよ……、うわぁ…相沢先生南無です」

……圭一、不吉な事言うな。

「一体全体何なんだよー? 罰ゲームって」

「ふふふ、今日の罰ゲームはこれだぁぁぁぁぁ!!!」

魅音が勢いよくロッカーから取り出してきたのは……フリフリの服だった。

えーっと?どこかで見たことあるような服だな……。

……っていうかこれまさかメイド服?

「で? これを俺にどうしろと?」

「もちろん祐一さんが着るんだよー♪ 大丈夫、とってもかぁいいから☆」

ぐは、やっぱりか……。

罰ゲームって、おいおい…これはないだろう。

「全力を持って却下する……」

「ちなみに罰ゲームに拒否権はありません」

そういって魅音に一蹴されてしまった……。

俺の手に渡されるメイド服、こんなの着れるわけないだろうが。

「第一サイズが違うだろ?」

「大丈夫ですよ、相沢先生、それメイド好きの監督が作ってますからサイズも相沢先生に合うのがきっとありますよ」

そういって圭一はどこか複雑そうに俺を見る。

……なんでそんな遠いい目をしてるんだよ。

「まあまあ……、そんなわけで相沢さん?覚悟はいいですね?」

「よくないです」

「はぅ〜☆ 駄目駄目なんだよ〜♪ 祐一さん、罰ゲームは受けなきゃ!」

「い、嫌だぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!」

 

 

「うぅ……、穢された」

っとまあそんな次第である。

俺が今着てるのはフリフリのメイド服、しかもサイズがぴったりだ。

何故かカツラまで用意されていて完全装備と相成った……、全然嬉しくないが。

「はぅ〜☆ 祐一さんお持ち帰り〜♪」

「うわぁ! レナ、飛びついてくるなー!!」

「み〜、祐一はボク達の物なのですよー☆」

うぐぅ、前方からレナに抱きつかれ後ろから梨花ちゃんに抱きつかれる。

なのに全然嬉しくない、むしろ俺を一人にしてくれ……。

「いや〜、相沢さんモテモテですね〜♪」

「……相沢先生、同情します」

「しかし全然違和感ありませんわね、まるで姉妹のじゃれ合いみたいですわ」

あっちはあっちで何か勝手な事言ってるし……。

あー、スカートって足がスースーする、気持ち悪いなぁ…なんか。

……って何でこんなに冷静なんだ、俺。

「どうしてこんな事になったんだ……」

どこで間違ったんだか…、俺の人生のリセットボタンは何処だー!!

俺の心の叫びは雛見沢の空に空しく消えていった……。

 

 

あとがき

祐一&圭一タッグ戦☆

しかしルールを聞いてなかった祐一くんは結局敗北しましたけどねー( ̄ー ̄)b

冥土服ならぬメイド服の調達はもちろんあの人からの支給(爆)

女装が似合う男、相沢祐一爆誕です(´∀`)

しかし設定以上の時間をかなり過ぎ去ってます、あれー?おかっしいなぁ?

設定ではもう綿流しが終わった頃なのに……( ̄□ ̄)

まあそんな事は置いといて…さてさてー、次回は梨花ちゃん&沙都子ちゃんコンビ大活躍ですよー。

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