世界があなたを嫌っても私はあなたを嫌いません

世界があなたを殺しても私はあなたを殺しません

世界があなたを憎んでも私はあなたを憎みません

 

でも…あなたはそれでも私の事を許してはくれないでしょう

世界とあなたの関係を引き裂いたのは他ならぬ私なのですから

 

 

出張!奇跡を運ぶ道化師

 

 

「祐一、起きてくださいです、朝なのですよ?」

優しい声が聞こえて俺の体が揺らされる。

まどろみの中で目を覚ました俺の目の前には梨花ちゃんがエプロン姿でこちらを見ていた。

「う…ん? 梨花ちゃん?」

「はいなのです、もう朝なのですよ? お寝坊さんは駄目なのです」

にぱ〜☆っとにっこり笑顔で俺をそう急かす、そっか…もう朝か。

休みの日も朝早いんだな、田舎ってなんか時間がゆったり過ぎる気がする。

「祐一さん、お早くご飯を食べましょうですわ」

沙都子ちゃんの声も聞こえる、その手にはみそ汁が…どうやら朝飯を用意しているみたいだ。

……あ〜、なんか幸せな光景だなぁ。

朝…優しく起こしにきてくれる梨花ちゃん、そして甲斐甲斐しく料理を用意してくれる沙都子ちゃん。

「なんていうか…新婚生活みたいだなぁ」

俺がそう呟くと沙都子ちゃんが真っ赤になって持っていたオタマを投げつけてきた。

「な、何、祐一さんは変な事言ってますのー!!」

「みぃ〜☆ 沙都子お顔が真っ赤なのです♪」

「り、梨花ぁ〜!!」

「にぱ〜♪」

そして始まる二人の追いかけっこ、あぁ……平和だなぁ。

――こんな幸せがずっと毎日続けばいいのに。

 

 

 

 

 

 

「大石さん、こっちです」

若い刑事と思われる人物がその後から来る老刑事――大石と呼ばれた刑事を向かいいれる。

「むふふ〜、ありがとう熊ちゃん、で? こちらが現場?」

「はい、名前は間宮リナ……どうやら興宮のゴロツキの一人みたいです」

熊ちゃんと呼ばれた刑事から大石はそう聞くと手を頬に当て唸る。

「ん〜、こりゃあS号関連かなぁ? それにしては殺り方が雑だなぁ……見せしめって事かな?」

そう言って大石はブルーシートに包まれている女性を見る。

それを聞き慌てたのは熊ちゃんと呼ばれた刑事だ。

「やっぱりS号関連ですか!? ……こりゃ大変なヤマになりそうですね」

「どうせまた捜査規制やらなにやらで真相は闇の中になりそうですけどね……、調べてみるまでわかりません」

大石はブルーシートをかけ直し屈んでいた体を起こす。

……少しの間だけ車の外に出ただけなのに大石の額には汗がにじんでいた。

「……これは早速雛見沢に向かった方がよさそうですねぇ」

大石はまだまだ暑くなりそうな雛見沢の空を向きながらそう呟いた……。

平和な日常は……少しづつ音も立てず、誰も気づかない内に崩れ始めていたようだ。

 

 

 

 

 

 

「ごっちそーさん!」

今日も今日とて美味しかった朝ごはんを食べ、俺は一つ欠伸をする。

……なんかこの頃平和過ぎて昔あった緊張感なんて吹っ飛んでしまったな。

さて…っと、今日は初心に帰りちゃんと歪を探しに雛見沢を見て回らな……、

「みぃ〜〜〜〜〜♪」

「おわぁ!?」

目を閉じて思考していた俺の背中に梨花ちゃんがいきなり飛びついてきた。

……凄い心臓に悪いな。

「り、梨花ちゃんどうしたの?」

「みー、今日は祐一も一緒に部活に行くのですよ?」

「……へ?」

部活?あぁ、昨日みたいのか。

といいますか昨日この家に帰るまでメイド服を着させた張本人が何を言いますか?

……あれは厳しかった、何人かの村人に見られて笑われるし。

「祐一さんを今日もコテンパにしてあげますわー!!」

沙都子ちゃんはそういって俺を急かす、う〜ん、でも今日は用事があるんだけどなぁ。

まあ少しの間ならいいか、俺はそう思い少し付き合うことにした……。

 

 

「あー! 祐一さーん! 梨花ちゃんに沙都子ちゃーん!!」

レナが手を振りながらもうすでに待ち合わせ場所で待っていた。

梨花ちゃんの家を出て暫く見知らぬ道を歩き少し文明が発達した町にでる。

どうやらここは雛見沢の隣の興宮という名前の町らしい。

ビルなどが見えて少し文明が発達しているみたいだ……、ファミレスとかあるし。

……というか疲れた、普段梨花ちゃん達は隣町には自転車で行くようだったのだが俺の分の自転車が何ので却下になった。

こんな事だったら俺だけ雛見沢に残ってた方がよかったな。

「あれ? 梨花ちゃん達は今日は自転車じゃないのかな?」

レナは自前であろう赤い自転車から降りてこちらへと向かってくる。

……どうやら待ち合わせ場所の玩具屋にはレナしかいないようだ、後の二人は遅刻か?

「みー? 圭一と魅ぃはまだなのですか?」

「うん、今日はレナ興宮に用事があったから先着ちゃったけど二人はまだみたいだよ」

……何やってるんだ?二人とも。

待ち合わせ時間は微妙に過ぎている、……っていうか自転車で歩きの俺達に負ける速度ってどういうことだよ。

「まったく、圭一さん達は遅すぎですわー!」

そう言って沙都子ちゃんは頬を膨らませる。

……柔らかそうな頬っぺたを凄い突きたい衝動に駆られるがここは我慢だ。

ぷにっ!

「レナさん……何してますの?」

「はぅ〜☆ 沙都子ちゃんのほっぺかぁいいねぇ〜♪」

俺がそう思っていたらレナが実行していた、しかもあれは昨日見せた「かぁいいモード」だ。

あのモード中のレナは凄い、あの細腕で男の俺の力以上のパワーを発揮する……らしい。

そのせいで昨日は逃げる事が出来なかった……、力だけなら舞以上だったな。

「それより今日は何をするのですか?」

「え? レナは知らないよ? 魅ぃちゃんが朝早くに電話してきたの〜♪」

「れ、レナさん放して下さいまし!!」

レナに抱きつかれたままの沙都子が身を捩るが結局離れる事は出来ない。

……あれに捕まったら俺でも離れられそうにないなぁ。

「ボクも魅ぃに電話もらっただけなのです、それじゃあ魅ぃだけが知ってるみたいなのです」

そっか、どっちにしろ魅音が来てからって事だな。

「んじゃ取り合えず待つか……」

丁度いいベンチが近くにあったからそれに座った。

「み〜、ボクも座るのです〜」

梨花ちゃんが駆けてきて俺の隣に座る、丁度二人分のベンチだったからそれで埋まる。

……哀れ沙都子ちゃん、圭一が来るまでレナの餌食だな。

しかしなんかこの頃梨花ちゃんに懐かれてる気がするな、なんでだろ?

「み〜♪ そういえば祐一はいつまで雛見沢にいるのですか?」

梨花ちゃんは俺の方を見ながらにっこり笑ってそう聞いてきた。

……いつまでか、目的を果たすまでだけど期間っていつまでだろうな。

「う〜ん、取り合えず後数日は確実かな? その後はわかんないな」

まだ8つもの世界が待ってるんだしな、ここにいつまでもいるわけにはいかない。

しかし、まだ一つ目の歪も見つかってないのにこんなにゆっくりしててもいいんだろうか?

でもなんの手がかりもないのも事実だし……、仕方ないか。

「そうですか、なら二日後にある綿流しには出られますですね?」

「わたながし……?」

「はい、綿流しっていう名前の雛見沢のお祭りなのですよ」

へー、夏祭りみたいなもんか。

しかし二日後だなんて結構近いな、それまでこの世界に留まるのもいいかもな。

「んじゃ俺も綿流し出させてもらうよ、それまで梨花ちゃんの家にいてもいいのかな?」

「もちろんなのですよ、いつまでもいてくださいです♪」

……なんか凄い嬉しい事を言われた気がする。

このまま雛見沢にずっと…か、それもいいかもな。

でも名雪達……どうしてるんだろうな、秋子さんも心配してるんだろうか?

あの美人さん、アレイスターがそのぐらいのアフターケアぐらいはしてくれてもいいのにな。

まぁ……家出息子は帰るまでにもう少し時間がかかりそうですけど心配しないで。

必ずいつか戻ります、だから…それまでは……この幸せな生活をもう少し続けさせてください。

 

 

あとがき

むふふ〜な大石さん登場ー( ̄ー ̄)

平和っていうものは音もなく崩れるものです……えぇ。

しっかし振り返ってみるとついに話数二桁ですよー♪(・∀・)/

これから物語は昼から夜へ、光から闇へと向かいます。

ずっと……幸せな時間だけが続けばいいのに……(´A`)

唐突ですが新婚生活って憧れますなー、あ〜あ、羨ましい( ̄A ̄)

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