「手助け……だと?」

白い世界に金髪の少年と純白の衣装を身に纏ったアレイスター・クロウリーは対峙していた。

彼らの周りに漂っているのは数個の丸い球体……実はこれは一つ一つが相沢祐一という者の過去である。

つまり…ここは相沢祐一という存在そのものの世界であり原点でもあった。

そんな世界の中で少年はクロウリーに牙を向かんと構えている。

クロウリーも表面上は冷静に装っているが内心ではいつでも攻撃準備に出れるように構えていた。

……強力な力を持つクロウリーともあろう者が目の前にいる少年には一切気を抜いてはいない。

――――何故ならば気を抜けば自分は一瞬にして彼に消されるだろうという事を知っているからだ。

クロウリーは警戒態勢を解かぬまま、少年へと語り始める。

「そうだ、今回は不干渉を一時的にやめる」

「そんな事をすれば均等であった世界の理が崩れる……、そんな事も忘れたか!!」

クロウリーの言葉に対し、少年は"力"を込めクロウリーを睨む。

その蒼く光る瞳を一心に浴びながらもクロウリーは涼しそうな顔を崩さない。

「"開示の邪眼"か……、無駄だ、その程度の呪いでは魔法使い一匹征せんよ」

クロウリーはそう言いながら自らの腕に魔力を高め始める……。

もうすでに場は一触即発の異界へと変貌を遂げていた。

「しかし覚悟せよ、"傍観者"よ……、ここで戦うという事は我と戦うのではなく世界と戦う事なのだと!!」

クロウリーは自分の腕に溜めた魔力を何の行使もせずにただ解き放つ。

その閃光のような純粋な魔力は暴風と化し異界をさらに魔界へと変えていく……。

しかし、そんな変わり行く世界には目もくれず少年はただ前を見る。

「―――世界と戦う? 当たり前の事を抜かすな、元よりこの身はその為に作られた物だからな!!」

こうして……誰も知らぬ世界での人知を超えた戦争が今始まろうとしていた。

 

 

出張!奇跡を運ぶ道化師

 

 

「………遅いなぁ、圭一達」

既に待ち合わせ時間を1時間過ぎても圭一達が現れる兆しはなかった。

さすがにおかしいと思ったレナは圭一と魅音の家に電話を、沙都子ちゃんは周りを見に行った。

俺と梨花ちゃんはここでお留守番、圭一達が来たときのための伝言板だ。

「みぃ……、それにしてもお外はとっても暑いのです」

梨花ちゃんはそういいながら自分の服のスカートをパタパタと上下に振る。

……女の子がはしたないなんて言う俺の言葉のストックはすでに枯れ尽きていた。

出来る事なら俺も涼しそうなスカートがいい、Gパンって結構蒸れるんだよなぁ。

まあ昨日みたいな女装は金輪際ごめんだけどな。

「あじぃ……、自動販売機でジュースでも買おうか? 梨花ちゃん」

「みぃ?」

「もちろん奢るからさ、梨花ちゃん何飲む?」

「それじゃあ、オレンジジュースが飲みたいのです☆」

「了解ー、んじゃちょっくら買ってくるー」

そう呟くように梨花ちゃんに伝え、俺はノロノロとベンチから立ち上がる。

こうなったらレナ達にも後でジュースでも奢るかぁ……。

しっかし今日は本当に暑いな、さっきから汗が止まらない。

 

 

「えーっと? 俺は何しようかなっと……」

俺は自動販売機の前に立ち飲み物を選ぶ、しかしこの自動販売機見たことないものばっかりだな。

ゴーヤ抹茶オレンジってなんだよ……、うが、どろり濃厚ブルーベリーってやつもやばそうだ。

……恐るべし興宮、伊達に田舎の自動販売機を構えてないな。

「うーん、ここは普通にアップルジュースでも……」

俺は無難にアップルジュースのボタンを押す……っと横から伸びてきた指が先に違うボタンを押した。

がらんごろん。

「うげ!? ゴーヤ抹茶オレンジかよ!?」

誰だ、こんな趣味が悪い事した野郎は?

「むふっふっふ〜、実はこれが美味しいんですよ〜」

そういいながら俺の後ろに立っていたのは白髪にオールバックという変わった髪形をしている人だった。

見た目は可笑しなただのオヤジなのだが……なんていうか雰囲気が違う。

こんな暑い中、黒いワイシャツを着て暑くないんだろうか?

「……? 誰?」

俺はそう怪訝そうに聞く、というよりこの人が誰というよりなんでゴーヤ抹茶オレンジを選んだ理由を聞きたい。

そんな俺の態度に気づいたのか慌てて見繕うように話し出す。

「おっと、ご挨拶が遅れましたね……私の名前は大石蔵人、気軽に蔵ちゃんでもいいですよ?」

「……はぁ」

なんなんだ?このオヤジはいきなり。

 

 

「梨花ちゃ〜ん! 圭一くんと魅ぃちゃんもう家でたってー!!」

レナが圭一達への電話を終えて戻ってきた。

……どうやら圭一達はもう家を出たということだから本当に何らかの理由で遅れているのだろう。

まったく、圭一と魅音の二人はしょうがない。

「みー、圭一達遅いです」

「うん、そうだね……あれ? 祐一さんは?」

「さっきジュースを買いに行きましたですよ?」

そうなんだーっと言ってレナは私の隣に座る。

その額にはうっすらと汗が滲んでいた、やっぱり今日は暑い……。

「……羽入、聞こえる?」

私は近頃羽入に話しかけていない事を思い出し近くを探る。

しかし、今は近くにいないのか反応はない。

……羽入は不貞腐れて近頃は私に――というより祐一が傍にいると傍に来ない事が多いい。

「まったく、いい歳して拗ねないでよね……」

「ん? 梨花ちゃん何か言った?」

「え? あ……なんでもないですよ☆」

私はそう言って誤魔化す、危ない危ない、少ししくじったわね。

しかし最近は祐一が来たお陰で未来が読めない、常に新しい事が起こっている。

しかも……今回こそはいけるんじゃないかと思わせるほど好調な滑り出しだ。

圭一もレナ達との距離はないし、詩音は現在は全寮制の女子寮に缶詰になっている。

……今回こそは、終わらせるんだ。

「今度こそは……絶対に!」

 

 

「興宮署……? あんた刑事ですか」

「そうですよ、興宮署の大石とは私のことです」

「いや、知らないし」

なんかすげぇハイテンションな自称刑事の大石さんはむっふっふっふーと豪快に笑う。

はぁ、というか刑事が俺に何のようだよ?

「本題に入ってもらえます? ジュースを知り合いに届けなきゃいけないし」

俺はそういって手に持つオレンジジュースとゴーヤ抹茶オレンジを大石さんに見せる。

……半分は恨みを込めてだけどな、これ絶対美味そうじゃないし。

「では……、相沢祐一さん、あなたは雛見沢に来てどれほどになりますか?」

「……はぁ、聞いてないな、本題を話してくれって言ってるんですよー」

遠まわしに聞いてきた大石さんに向けて俺は抗議する。

「………そうですか、では単刀直入に聞きます、あなたは間宮リナという女性をご存知ないですか?」

……間宮リナ?

どっかで聞いた事あるような……ないような……?

まあ別にいいか、俺に関係ある事じゃなさそうだし。

「ちょっとわかんないですね……、それだけですか? それなら失礼しますよ」

俺はそう言いその場から離れようとする……。

しかし、大石さんはそれを止めようとはせずにただ一言……確認するようにその言葉を発した。

「北条沙都子さん……今何処にいるんでしょうねぇ?」

「……は?」

 

 

「……祐一さん、遅いね」

「……沙都子もまだ帰ってきてないのです」

祐一と沙都子がいなくなってもう30分以上経った、未だに圭一と魅ぃは姿を見せないし……一体何が起こってるの?

一人、また一人といなくなっていくこの構図に何かとても嫌な予感がする。

「みぃ……、なんだかとっても変なのです」

「梨花ちゃんもそう思う? ……レナも何か変だと思うんだ」

レナはそう言って体を抱くような仕草をした。

……どうやらレナはレナで本能が警告らしきものを発しているらしい。

数多の世界でレナを見てきたが……レナの本能は常人より優れている事が多いい。

だからだろうか、レナのその言葉を聞き、私はいてもたってもいられずベンチから立ち上がった。

「レナ、祐一と沙都子を探しにいきましょうです!!」

私がそう叫ぶようにいうとレナにも危機感が伝わったのかレナも急いでベンチから立ち上がる。

……何故こんなにも胸が騒ぐのか、こんなにも幸福な世界だっていうのに。

「そ、そうだね……、それじゃあ私は祐一さんを探しに行く! 梨花ちゃんは沙都子ちゃんをお願い!!」

「はいなのです!!」

私達は知っている。

私は数多の世界を見てきたから……。

レナは実際に経験してきたから……。

平和な日常は……ある日突然足元から簡単に崩れ去ってしまう事を……。

 

 

あとがき

ごめんなさい、時間切れです( ̄A ̄;)

今回はちょっと短めになってしまいました(汗)

あれー?こんなはずじゃなかったんだけどなぁ……。

綿流しまで後二日……、うわぁー、微妙に設定失敗したっぽい(TAT)

まあ……出来る限り頑張りますよー(・∀・)/

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