「おい、アレイスター……どういう事だよ?」

俺は湧き上がる疑問と不満を声に込めてアレイスターに問いかける。

『何がだ? 相沢祐一』

アレイスターは不思議そうにそう問い返してくる。

くそ、愚痴りたい事は沢山あるけど……今はそんなことしている場合じゃない。

「色々といいたい事はあるけど、まあそれは置いとく……で? 何の用だよ?」

『何だ、親切に電話をかけてやったのに不機嫌そうな声だな』

そういいながらアレイスターは電話の向こうで酷く可笑しそうに笑いだす。

―――その笑いはこちらの心情を知ってか知らずかとても不快になる笑い声だった。

……もしかしてこいつ、起きた出来事を全部知ってるんじゃないだろうな?

『まあいい、それより随分とその世界を楽しんでいるようだな?』

「楽しんでいるってわけじゃない、……こっちはこっちで忙しいんだ」

沙都子ちゃんの事、梨花ちゃんの事、歪の事……本当に予定が詰まっている。

どれもしくじれない、いや、どれもしくじるわけにはいかないんだ。

世界を巡る事がこんなにも辛い事だとは最初は思わなかった、だけど……俺は走り続けなくちゃいけないんだ。

『そうか? まあ忙しいのはいい事だ、しかし三日後までにキチンと全てに決着をつける事だな』

「三日後? なんで三日後なんだよ?」

『言ってなかったか? ……その"世界"にいられるのは後三日後までだぞ?』

―――なんて事をアレイスターは平然と言い放った。

 

 

出張!奇跡を運ぶ道化師

 

 

「ただいま……」

俺は呆然としたまま古出神社へと戻ってきた。

俺の帰宅の声を聞き、奥の方からいつも通り梨花ちゃんが歩いてくるが……俺はそんな梨花ちゃんをまともに見れなくて顔を背ける。

「祐一? どうしましたですか?」

梨花ちゃんはそんな俺の出て行った時とは正反対な態度に少し困惑気味に聞いてくる。

そんな不安げな梨花ちゃんを見ても俺は事情を話す事すら出来ない。

俺は……もう、この世界にはいられない。

アレイスターから先ほど伝えられたこの上ない事実だ。

三日後の夜、十二時を越えた瞬間俺は次の世界へと強制的に流されてしまう。

歪を見つけていようと見つけていなかろうともうそれは決定している事だとアレイスターいう。

俺はそれが辛くて悔しくて、色々な感情が入り混じり過ぎて視界が段々とぼやけて来るのを感じていた。

「俺は……最低だ」

「……祐一? 泣いてますですか?」

「ごめん、梨花ちゃん……沙都子ちゃん……みんな」

謝っても……償えない罪が重かった。

救うと心に決めた少女の事を救えない自分の無力さが腹立たしかった。

救えると自分を信じてくれた少女を救えない自分の勝手さが腹立たしかった。

「祐一、何があったのですか?」

梨花ちゃんはそう優しく俺に問いかけるが俺は答えられない。

……もう、ここには俺の居場所がないのかもしれないな。

「いや、なんでもない」

「そうですか? ……何か不安があるならボクに言ってくださいです」

「………あぁ、ごめん梨花ちゃん」

俺は呟くようにそういうと元来た道を引き返すように出口へと歩いていく。

……流石にそんな俺の行動に不審を感じたのか後ろから梨花ちゃんがついてくる。

「祐一……どうしたのですか?」

「なんでもないんだ、なんでも……」

そう言って俺は不安そうな顔をしている梨花ちゃんを残して古出家を出た。

……俺が残り短い時間で出来る事はなんなんだろうか?

この世界に来て知り合った沙都子ちゃんを助けるか?

―――代償はこの世界にある歪を無視してしまうこと。

元々の目的である歪を探し出してそれを回収するか?

―――代償はこの世界にいる人々を無視してしまうこと。

沙都子ちゃんを救って歪を探し出すか?

―――代償は……二つの事柄を押し通せるはずもないという現実。

「どうしろっていうんだよ……、アレイスター」

問いかけても答えはなく……暖かい日差しの中へ空しく消えていった……。

 

 

相沢祐一、残り時間……64時間42分28秒。

 

 

「なんでもないんだ、なんでも……」

祐一はそういって家を出て行った……。

……どうかしたんだろうか?

私は不思議に思い祐一が出て行った出口へと歩く。

そしてひんやりと冷えたドアに手を当てながら今はいない彼の行動を振り返った。

―――祐一は何かを知っているんだろうか?

今朝彼の手に持っていた物、あれは……なんなんだろうか?

携帯ラジオ……にしては音楽が違うように聞こえたしここ百年生きてきてあんなものは見た事がない。

それにあの焦った祐一の顔、あれは何かいけない物を見つかったような顔だった。

わからない、あれにもしかして祐一の秘密を知るきっかけがあるんだろうか?

「……まあ、それより問題はこれからの事ね」

沙都子は救う、これは絶対だ。

だが……数多の世界で沙都子を救えた世界は残念ながら存在しない。

どうすれば救えるのか……未だ方法はわからない。

こんな時に相談する役なはずの羽入は最近近くに寄ってこないし……どうするか。

―――羽入を呼ぶ方法、何かあったっけ?

「…………あっ、簡単な方法があった、……にぱ〜☆」

 

 

「今日もいいお天気なのです」

ぽかぽか陽気で日向ぼっこ……あぅ、とても気持ちいいのです♪

ここは古出神社よりもう少し奥に行った森林、お気に入りの小さく開けた広場。

梨花と沙都子とボクしか知らない秘密の場所なのです。

太陽が丁度当たる場所には小さなお花が元気よく咲いているのですよ〜♪

「あぅあぅあぅ〜……、眠くなってきたです〜……」

近頃の夏の日差しはちょっと強いけどこの森の中には直射日光は当たらない。

葉っぱ達が直接降り注ぐ日光を遮りいい感じに中和してくれる。

だからこの頃はここら辺でゆっくりお昼寝するのが日課なのですよ。

「う〜ん、しゅーくりーむはもう食べられないのですよぉ〜♪」

今日は美味しいシュークリームの夢を見たのですよ〜♪

梨花が大量のシュークリームをボクの為に買ってきてくれるのです。

これが夢じゃなくて現実ならとても嬉しいのですけど〜……。

「むにゅ〜……にゅ?」

……っと、今何か口に入ったような違和感があるです。

ボクは基本的に梨花と繋がっているため食事は梨花を通してする事になる。

なので梨花が何かを食べればボクが何かを食べるという事になるのです。

時間は丁度お昼近く……今日はどんなご飯なのでしょうか〜♪

「…………むぐっ!?」

か、かかかかから、辛いっ!?

な、何を梨花は食べてるのですか!

この味、この辛さ……、まさか……梨花はあの凶悪な食べ物を食べているんじゃ……っ!?

「あぅあぅあぅ、り、梨花〜! あれほどキムチは禁止だと言ったのにーーーーーーーっ!?」

ボクは急いで飛ぶように……いや実際飛びながら家へと急行する。

今すぐこの口にあるキムチを撤去しなければボクは死んでしまうのです!

辛い辛い辛い辛い辛いーーーーーー!!!

 

 

「あぅあぅあぅーーーーーっ!!! 梨花はボクに何の恨みがあるのですかーーーーーーーーーっ!?」

 

 

あとがき

ひさしぶりー(ノ´ω`)ノ

道化師更新ですよー、お待たせしましたー。

………つか久しぶりに書いたら色々と今とは違っててやり難いのなんのって(´A`;)

でもこの文章方法の方が結構楽、設定もそんなにないしね。

キャラが決まってるSSは書きやすいーーー(・∀・)9mーーッ!!

しかしこっちの祐一君も微妙にへたれてるような気もしないでもない(爆)

頑張れ主人公、―――実はまだ8つもの世界が待ってるぞ(`・ω・´)

そして頑張れ俺、連載二本とか文才もないのに欲張り過ぎだからOTZ

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