「レナみっけ! はは、おじさんはかなり探したんだよ?」

私は廃棄物の山の片隅で蹲っていたレナを見つけ出来るだけ明るく声をかけた。

……その顔はどこか沈んでおり、こちらの事を気づいても反応は鈍かった。

「魅ぃちゃん……? そっか……祐一さんだね?」

そう言ってまた顔を伏せるレナ……、まさかここまでレナが精神的に追い詰められていたなんて……。

いや、わかっていたはずだ……園崎魅音。

私は"同じような友達"を見た事があったはずだ、自分を誤魔化すな……。

「まあね、あの人いきなり家に来てさ……レナの話を聞いてやってくれー! だってさ」

「…………そう」

レナはもうどうとでもいいと言わんばかりに無表情だった。

……このままじゃ駄目だ、私が…レナを救うんだ。

私は意を決して顔を伏せているレナの前に座り込んで目線を合わせるように話しかけた。

「……レナ、私に話してくれないかな?」

「…………」

「もしかしたら私が聞いてもどうしようもない事かもしれない、でも……それなら一緒に悩むぐらいは出来ると思うから」

「……魅ぃちゃん」

「ね? 私は親友のこんな姿を見てられないよ……、だから…レナの荷物を少し私に分けてよ」

 

 

出張!奇跡を運ぶ道化師

 

 

「ひもじいよ〜、暑いよ〜、寂しいよ〜」

雛見沢の夜がふけひぐらしの大合唱と共に俺の腹の音が盛大に鳴った。

うぅ、このままでは蚊に吸われた血と体力のせいで動けなくなってしまう。

なんかこう雨風防げる所はないものかー!!

そう思い野宿を諦めた俺はブラブラと雛見沢の中をあてもなく歩き続ける……。

しかし田舎って果てしなく広いな、歩くだけでもはや重労働に等しい疲労感だ。

そんな事を考えながら暫く歩いていると前方に何かを発見……どうやら石造りの階段のようだ。

「ん? なんだあれ? どこに繋がってるんだろ?」

少しばかりの好奇心に負け俺はその階段を一歩一歩ゾンビのようにあがっていく。

もう……飯はいいからどこか蚊が来ない所で寝たい……。

そしてようやく階段を上りきり顔をゆっくりと上げるとそこには古びた神社が建っていた。

「これぞ神の恵みってやつでしょうかー、まあいいやー、お邪魔しまーす」

もはや頭が正常に機能していない、神社といえど勝手に社の中に入る事は不法侵入?知るかー!

ふふふ、俺にはやらなくてはいけない使命があるのだ……ならば少しばかりの犯罪もOK!!

……うわぁ、俺ってば凄い言ってる事矛盾してるー♪

「はっはっはー、いやマジで少しばかりなのでお願いしますよー」

というわけで突入ー、寧ろこれで捕まって警察でカツ丼でも奢ってもらおうか。

一晩くらいなら捕まっても困らないしな、寧ろ蚊が来ないだけマシかも……。

「……いやいや、しかしやっぱりそれはいけない事だ」

扉に手をかけた所で僅かばかりに残っていた理性というなの天使君が俺の行動を止める。

『駄目ですよー! 祐一さん、犯罪はメッですよー!!』

イメージとしては佐祐理さん、天使の羽をつけて理性としては最強で最後の守護神だ。

尚一番弱い理性のイメージはあゆである、ほら、簡単に言いくるめられそうだし。

『祐一さん! でもここで入らないと蚊と一晩中格闘する事になりますよー?』

ここで欲望という名の悪魔登場、イメージとしては栞。

悪魔としてのレベルは普段なら最弱の部類なのだが今のように体が弱ったときには何故か鬼のように強い。

しかもたまに上目遣い+甘えた声という最悪の毒を盛ってくる場合もあるから危険な存在だ。

『駄目ですよー! 祐一さん! 犯罪に手を染めたらもう食後の膝枕はしてあげませんよー!!』

ぐあ、それは辛すぎるよ!天使佐祐理さん!

あの昼食後の膝枕は俺にとっての神の座椅子にも劣らないヘブンだ。

『いいじゃないですかー! 今は祐一さんの身の安全が大切です! 私が今度代わりに膝枕をしてあげますよ?』

悪魔栞がそういいながら自分の膝に指をさす。

そして悪魔栞の膝を見た後天使佐祐理さんの膝を見る……。

……ふ、栞…今回はお前の負けだ。

やはり栞では佐祐理さんの魅力……というか包容力には勝てないな。

『えぅー! そんな事いう人嫌いですぅー!!!』

いつもの捨て台詞を残して泡のように消える栞……他愛もない。

『そうですよー、さすが祐一さんです! 佐祐理は祐一さんを信じてました♪』

そうだよな、やはり犯罪はいけない事だな……うん、こうなったら寧ろ外で野宿して蚊と一晩中格闘しよう……。

そう思い直し俺は社から離れようしたその時……、

『あらあら、祐一さん……女の子をいじめてはいけませんよ?』

「あ、秋子………さん?」

最強の悪魔が現れてしまいました。

 

 

みー。

ボクの名前は古出梨花なのです、……なんてね。

今は夜中、いつもの"古出梨花"の真似はしなくていい。

今日はどこか寝づらい珍しく暑い夜、私は中々寝付けず暑苦しい布団から抜け出し窓を開ける。

……冷たい風は入ってこないけど少しは気が楽になった。

「すー、すー」

眠れない私とは別に規則正しい呼吸音が私の後ろから聞こえてくる。

……沙都子はもうすっかり夢の中だ。

少し涎を垂らしながらどんな夢を見ているんだろうか?

沙都子の事だ、もしかしたら明日の晩御飯の事でも夢に見ているのかもしれない。

そんな沙都子の幸せそうな寝顔を見ていると私は先ほどまでイラついていた心が楽になる。

くすくす……、単純ね。

「梨花……眠れないですか?」

…………なんだ、私と同じでまだ寝てなかったのがいたか。

私の隣……そこには何時の間に来たのか羽入が座っていた。

「どうしたのよ、羽入……あんた寝たんじゃないの?」

「今日はちょっと寝苦しい夜なのです、外も微妙にうるさいので目が覚めちゃったのですよ」

外がうるさい?

「あぁ、虫の鳴き声ね? でも雛見沢じゃそんなに珍しい事でもないでしょ? 我慢しなさい」

「あぅあぅ、ち、違うのです! 神社に誰かいるのですよ!」

…………。

「誰よ? また鷹野と富竹がいたずらでもしにきたんじゃないの?」

「それが……知らない人が神社の扉を開けたり閉めたりバッタンバッタンでとってもうるさかったのです」

こいつ、今日は神社で寝てたのか。

それにしても誰だろう?羽入が知らないということは私も知らないという事になる。

…………え?ち、ちょっと待って、私たちが知らない人?

「羽入、その人は本当に知らない人だったの?」

「はい、顔も見たことない人でしたよ?」

「…………ちょっと待ってよ、それって凄い大変な事じゃないの!?」

「え? でも別に泥棒さんではないようですよ? どうやら蚊に刺されたくなくて非難してきただけみたいなのです」

そんな事いってるんじゃない。

別にその人物が何しに来たかは問題じゃない、もっと問題なのは……、

「違うわよ、何で私とあなたが知らない人物が雛見沢にいるのよ?」

「……あ、そういえば」

「――――馬鹿! それって凄い大事じゃない!!」

こうしてはいられない!まさか今更になって新しい人物が出てくるなんて予想外もいい所だ!!

諦めようと思ってた世界なのに……、諦めようとしていた未来だったのに……。

「いくわよ! 羽入!!」

 

 

あとがき

微妙に書き直しー、梨花ちゃんの所はあまり変えてません。

今回はちょっと短いです。

それと祐一くん壊れてます(´∀`)

多分ずっとシリアスやってたから疲れてしまったんですよ……特に作者が(ぇ

梨花&沙都子登場〜♪

これでヒロインズは全員出し切りましたw

後残る主役は……あのお方のみですな(・∀・)

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