「時が来たな……」

クロウリーは夜の帳が下りている雛見沢の様子を見ながらそう呟く。

「…………"また"始まるのか」

今まで黙っていた金髪の少年がようやく口を開く……、その表情には悲愴に染まっていた。

「ふ、貴様にはあれが悪夢の始まりだと思うか? 私にはそうは思えない……あれは喜劇の始まりだよ」

そういいながらクロウリーは赤い表紙の古びた一冊の本を取り出した。

「まあステージ1で"消えて"しまったら詰まらないからな……少しは手助けしてやろう」

 

 

出張!奇跡を運ぶ道化師

 

 

「うあー、どうしよう!? 犯罪は駄目だけど俺は蚊にさされたくないー!!」

俺は頭を抱えながらその場に蹲る。

くそぉ、人間意思が弱くなるとアンダーな考えが多くなる。

このまま去るべきなのはわかっているがやはり諦めきれない、でもここで無断で入ったら犯罪者……。

「無限ループじゃん!? くそぉ……、俺ってば優柔不断だぜぃ」

自分で言っといてなんだけど結構へこんだ……。

ぐぅ〜。

あ、あとついでに腹もへこんだ……。

「うぐぅ……、もうタイヤキでもなんでもいいから食いたい……」

「お腹減ってますですか?」

「……へ?」

突然後ろから声が聞こえた。

俺が振り返るとそこには……背の小さな青髪の少女が一人立っていた。

「……みぃ? どうかしましたですか?」

少女は首をかしげて不思議そうにこちらを見ている。

「…………」

俺は少し考えて……腕時計を見た、現在の時刻は3時16分……もちろん夜中の。

……まあこの世界の時間とこの腕時計の時間が合っているかはわからないけど多分そんなに誤差はないと思う。

「……まさかとは思うけど迷子か?」

どうみても目の前の少女はこんな時間に起きているような年齢ではない……と思う。

すると俺の呟きが聞こえたのか目の前の少女は柔らかそうな頬っぺを膨らませた。

「ボクは迷子じゃないのです……、だってここはボクの神社ですよ?」

「ボクの……?」

「そうです、ボクの名前は古出梨花……この古出神社の巫女なのです」

少女は小さな胸をはりちょっと誇らしげにそう言った。

 

 

「くはー! 食った食ったぁ!! とってもサンキューです、梨花ちゃん」

俺は梨花ちゃんが作ってくれたオムライスを平らげ満足気に礼を言った。

うむ、とっても美味でありました。

「み〜☆ 喜んでもらえて嬉しいのです」

梨花ちゃんはそう言いにっこりと笑った。

俺が今いるのは神社の裏にある梨花ちゃんの家だ。

あの後梨花ちゃんはいきなり「それじゃあ家にご招待しますです」といいここまで俺の手を引っ張っていった。

まあそれに二つ返事で了承してしまった俺も俺だが。

「それで? あなたはどなたなんですの?」

そういって興味深そうに俺の顔を覗き込んできたのはピンクのパジャマを来た梨花ちゃんと同年代ぐらいの女の子だ。

名前は北条沙都子というらしい、見た目は梨花ちゃんと正反対で活発そうな雰囲気がある。

どうやらこの家には二人で住んでいるらしい、多分色々と込み入った理由があるのだろう。

「ん、俺の名前は相沢祐一……愛と夢を求める旅人さ!」

「相沢……祐一」

梨花ちゃんはどこか不思議そうな顔をしながら俺の名前を呟く……俺の名前に何かあったんだろうか?

「それで? 相沢さんはこんな時間に梨花の神社で何をしていらっしゃったのですか?」

沙都子ちゃんは目を細めながらそう言った。

……ぐあ、そういえば俺ってさっきまで無断で神社に入ろうとしてたんだよな。

まあ未遂とはいえ事実のまま言ったほうがいいか。

「うぅ……、すみませんでしたー、ぶっちゃけ野宿先に神社の中で寝ようかと思ってました」

「……中々凄い事を考えますのね」

沙都子ちゃんは少し呆れたような顔で俺にそう言った。

うぐぅ、……すみません。

「別に気にしなくていいですよ、祐一は泥棒さんではないので許してあげますです」

俺がそんなに哀れに見えたのか梨花ちゃんは頭を撫でて慰めてくれた。

なでなでなで〜、み〜み〜☆

 

…………。

………………。

……………………。

 

「……っは!? あまりの気分のよさに時が経つのを忘れてしまった!」

梨花ちゃんの部屋の時計を見ると……あれから1時間も経ってる!?

恐るべし……梨花ちゃん。

「みぃ〜♪」

「……相沢さんって変わってますのね」

沙都子ちゃんは何時の間にか冷蔵庫から持ってきていた牛乳を飲みながら呆れたようにこちらを見ていた。

 

 

「それで祐一はこれからどうしますか?」

もう十分撫でつくしたのか今は俺の頭から手を放し座っている梨花ちゃんがそう聞いてきた。

これからどうするか…かぁ、どうしよう?

「う〜ん、取り合えず雛見沢に何日か滞在するからその間の野宿場所探さないとな……」

でも見つかるだろうか……、なんというか田舎って旅館あるとは思えないんだけどなぁ。

ホテルなんて論外だろうし、第一その前に金がない。

「滞在って……相沢さんは学生ではありませんの?」

沙都子ちゃんは不思議そうに聞いてくる。

……あぁ、そっか、俺も一応学生だったんだよな。

どうにか誤魔化さないとまずいか?

「えっと、……俺は大学生だから時間がいっぱい余ってるんだよ」

「祐一は大学生なのですか?」

「うん、まあな」

あとそれは数年後の話だけどな……。

それに大学生って暇そうなイメージがあるし……今度からそういう事にして誤魔化すか。

「……それじゃあ暫く雛見沢に居るんですね?」

「あ、あぁ……、そうだけど?」

梨花ちゃんは念を押すように聞いてきた。

「それなら祐一は今日から暫く家で暮らすといいですよ☆」

「えぇ!? り、梨花? どういうことですの!?」

梨花ちゃんのトンデモ発言を聞き俺より先に沙都子ちゃんが声をあげる。

彼女は八重歯が見えるぐらいに大きく口を開けて驚いていた。

しかしそんな沙都子ちゃんを見ながらも、

「だって祐一は困ってますですよ? ノラ猫さんがにゃーにゃー鳴いていて可哀想なのです」

っといいながら梨花ちゃんはにっこり笑顔でこちらを見ている。

俺はノラ猫扱いですか……、いや、まあ否定はしないけど。

「でも迷惑だろ?」

俺のような男を一人追加するだけで梨花ちゃんたちにかなりの負担があるはずだ。

ただでさえ梨花ちゃん達は子供達のみで暮らしているというのに……。

「そんな事はないですよ、それにこれは交換条件なのです☆」

「交換条件?」

なんだろうか?

もしかして……神社の巫女のバイトでも手伝うのだろうか?

しかし、梨花ちゃんから出た意見はまったくの予想外な言葉だった……。

「祐一……、ボク達の学校でみんなに勉強を教えてくれませんか?」

 

 

あとがき

Kこと前原圭一参上!……のはずだったんですが時間が足りず断念(TAT)

楽しみにしていた人……すみません。

次回こそはK登場です!そしていよいよみんなで部活編……、さーて?今回の部活は!?

クロス作品を考えてくれた人、ありがとうございます!

出来るだけ反映させていただきます、さすがにやった事ないゲームは無理だけど(・A・;)

そろそろひぐらし編も中盤に差し掛かりつつあります。

これからスピードを上げて物語が展開していきますのでー(´∀`)

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