「否定と破壊、どちらが優れていると思う?」

「破壊は行為、否定は概念……優れているも劣っているもないだろ」

「それはそうだね、破壊を否定する、否定を破壊する……どちらもイコールにはならない」

「…………」

「でも実際問題として破壊と否定はこうして現実に相対してるわけだけど……この矛盾はどう説明するの?」

「つまり存在している限りには優劣は必ずある……という事か?」

「その通り、破壊と否定は現実にこうして生身で存在している―――つまりこうして同じテーブルについているということだよ」

「それは……そうだけどな」

「確かにこんな事はありえない、でもそのありえない事を実践してるのが"起源"っていう能力者って事はわかるよね?」

「…………」

「ここでさっきの質問の再開だよ、否定と破壊……どちらが優れていると思う?」

「―――俺はお前を否定する事は出来る、多分今すぐにでも」

「そうだね、人類破壊兵器は防衛手段を持たないただの兵器―――攻撃以外には疎い」

「だけど逆にそっちが攻撃に移ればいくら否定者といえども破壊される……だろ?」

「その通り、いくら不死者でも関係ない、君が"人間"であれば存在そのものを破壊出来る」

「―――つまり、お前は否定を破壊するって事だろ?」

「逆に君は破壊を否定するって事だよね」

「…………」

「…………」

 

 

 

 

「「なんて―――化け物だ」」

 

 

 

 

ロードナイツ

 

外伝

「人類破壊と否定者の邂逅」

 

 

 

 

「起源者に優劣はない、ただあるのは個体としての絶対なる特化」

「……だと思ってたのに実際は異なる結果を生んだ…か」

 

否定者と破壊者は共に軽く笑いながら言葉を交わす。

 

「破壊を否定する事は出来ない、何故なら君は人間だから」

「否定を破壊する事は出来ない、何故ならお前は人間だから」

 

他に何者も存在しない草原で、しかし二人は存在する草原で。

 

「でも破壊を持つ破壊者を否定する事は出来る、何故なら君は起源者だから」

「だが否定を持つ否定者を破壊する事は出来る、何故ならお前は起源者だから」

 

何かが壊れて何かが無い二人は、だが目の前に立つ鏡をただ見つめながら。

 

「君は何が楽しくて否定するの?」

「―――知るかよ、そんな事」

 

破壊者は否定者に問う。

否定者は笑う、相手が言った言葉が可笑しくて。

 

「じゃあお前は何が悲しくて破壊するんだ?」

「―――さあ? 考えたこともなかったよ」

 

否定者は破壊者に問う。

破壊者は笑う、相手が言った言葉が可笑しくて。

 

「「つまりは呼吸するのと同じ、ただそんな機能があったから使用しているにすぎない」」

 

つまりはそういうことだ…っと二人は顔を合わせて苦笑する。

例え呼吸する事が煩わしくとも、それがないと自分は生きていく事さえ出来ない。

 

 

 

 

「そういえば君は能力を使えるの?」

「いや、否定する事は出来るけど……実際は出来ない」

「どういう意味?」

「俺の起源は"否定"だろ? そんな中でも"体内否定"と"体外否定"つーのがあるんだけどさ……どっちの能力も現在フル稼働で使用不可中」

「それって……うん? えっと、どういう事?」

「わからないか? 俺の能力は"全てを否定する可能性がある"制御不可能な能力なわけ……全否定能力なんだよ」

「うんうん」

「つまりさ、肯定部分が存在しない俺は本来世界に現界している事すら出来ないはずなんだ」

「そうだね、概念が現実に存在する異端を世界が認識出来るわけがない……じゃあ何で君は存在しているの?」

「だからな、俺という存在を否定しようとするのが体内否定っていう能力なわけだ、そして世界を否定するのが体外否定……つまりは」

「君を否定しようとしている体内否定を体外否定で否定している状態ってわけかい?」

「う〜ん、まあ簡単にいえばそんな感じかな? 否定というより中和に近い感覚だけど」

「つまり君が能力を使用しようとした場合、君自身が体内否定に呑まれる可能性があるって事?」

「その通り、そんな反作用のせいで俺は今現在絶賛不死者中ってわけだ……まあ不老がなかっただけマシだな」

「うわ……それって否定のしすぎで"生"や"死"まで否定してるって事?」

「そうだな、だから実は俺って生きてるわけでもないんだ―――簡単に言えば……中間?」

「でもそれって不老がなかった分体は老いてくんだよね? そっちの方が辛くない?」

「いや〜、違うんだ……俺は"死ねない"わけじゃない、ただ"死なない"だけなんだよ」

「つまり君は寿命が来たら体外否定を解くって事?」

「そんな感じだ、そんで世界から否定されつくして内から呑まれるのが俺の死に様……あっけないもんさ」

 

 

 

 

「なら逆に聞くけどさ、お前は能力使えるのか?」

「もちろん、回数制限つきだけど軽く使えるよ」

「回数制限? 何回ぐらい使えるんだ?」

「人類破壊兵器が消滅するまで、つまり君と同じように内から呑まれるまで…かな?」

「お前はその能力を使うのか?」

「最初に言ったよ、軽く使える」

「つまり……お前は"死なない"わけもなく、"死ねない"わけでもなく……ただ"死のう"としてるのか?」

「似て非なる言葉だね、死のうとしてるんじゃなくて結果的に死んでしまうかもしれないだけだよ」

「何が違う?」

「意味ある死と意味のない死の区分さ、死にたいわけでもないけど死に近づく事に何の未練もないよ」

「死に意味があるかよ、そんなの戯言だろう?」

「死に意味はないけど経過には意味があるんだよ、死ぬまでの経過にね」

「何があるってんだ?」

「言えない、いや……言っても理解されない」

「……何故」

「君が否定者だから、人類破壊兵器は偽善者なんだよ」

「それがお前と俺の違いか?」

「うん、死に魅せられてる君と生に魅せられてる破壊者の違い……生を愛する否定者と死を愛する破壊者の違いだよ」

「確かに意味不明だな、俺には理解出来そうにない」

「それでいいんだよ、だって君は否定者なんだから……」

 

 

 

 

「さてっと、これからどうしようか?」

 

人類を破壊する権限を持った少年は、世界を否定する権限を持った少年に問う。

 

「知るかよ、お前の方からやってきたんだから」

 

そういって、否定者は呆れたように破壊者に答えた。

 

「それもそうだね、一応言っておくけど人類破壊兵器の今回の行動理由は否定者の破壊だよ」

 

破壊者は軽くそういいながら目の前に立つ目標にそう告げた。

 

「ふ〜ん、それってお前の意思か?」

 

その言葉に対し―――否定者は目を細めてそう問うた。

 

「違うよ、とある老人の頼み事……ある意味人間という存在を一方的に愛している老人達のね」

 

破壊者は何の躊躇いもなく、そう答える。

 

「そっか……、ならいいや―――さっさとかかって来いよ、お前の全てを否定し尽くしてやるさ」

 

破壊者の言葉を聞き、しかし否定者は軽く苦笑しながら宣言する。

 

「そう? それなら遠慮なく―――君の全てを破壊し尽くすよ」

 

否定者の言葉を、破壊者は曇りもなく、そう返す。

 

 

 

 

破壊と否定―――結局は優れたものが勝つ。

そんな事は二人とも、最初から知っていた。

 

 

 

 

End

 

 

 

 

 

 

あとがき

短ッッッ!!!

はい、人類破壊兵器と傍観者の邂逅でした。

よくわからない人は無理に理解しようとは思わないでください。

読み辛いのも仕様です、読み難かったら飛ばしてください。

ただ本編中では詳しく説明出来ない部分を何の加工もなく排出したに過ぎません、いわば蛇足。

……はぁ、疲れたOTZ

Ads by TOK2