「………一人、堕ちましたね」

「………何? こんなにも速く誰がだっ!?」

「この気配からいって……レイナさんって所でしょうか?」

 

僕はそういってため息をついた。

………しかしこの結果は予想外だ、思ったより速く事態が逆転しつつある。

レイナさんは魔族、それほどの力はないとしても人間如きに遅れを取る事はないはずだった。

その上、例外の水瀬秋子、川澄舞の居場所はわかっている。

この二人が今回の戦闘にまだ一度も加わってないって事も察知済みだ。

なら、これは……相手に他の戦力でもいたんだろうか?

 

「………ちぃ、作戦の方に支障はないんだろうな?」

「多分大丈夫でしょう、牙紗さん一人でも今回の任務はこなせるはずですから」

 

しかし人格的に問題がある牙紗さんを僕が操るのは至難の業だ。

あの人はよくも悪くも戦闘狂、それ故戦闘以外の任務ではいつも何らかの問題が発生する。

なのでお供に二人も付けたというのに何者かに一人倒されてしまった。

これは僕たちが早めに水瀬秋子を捕らえなければいけませんね。

 

「急ぎましょう、鬼仙さん」

「………無論だ、我々の目的は目の前にいる事だしな」

 

そういって―――鬼仙さんと僕はゆっくりと目の前に聳え立っている純白の城壁に囲まれたカノン城を見上げた。

 

 

 

 

ロードナイツ

 

第十四話

「天使or悪魔」

 

 

 

 

「さてっと……これからどうするかな」

 

俺はとある住宅街の屋根の上に陣取り辺りを見渡していた。

先ほどの戦闘で幹部級を一人倒したからこれからは他の幹部も警戒して動くだろう。

……他の幹部を蹴散らすか、それとも魔物を掃討でもするか。

 

「どっちにしたって人目につきそうで嫌だなぁ」

 

さっきの戦闘は誰も見ていないと確信して動いたから何の影響力も働いていない。

体が思った以上に軽くなっているのがわかる、久しぶりの外だからな……。

俺は雪降る空を見上げながら意味もなく両手を広げて目を閉じた。

 

「―――次に外に出る時はもうちょっとゆっくりしていたいな」

 

そう呟きながら俺の髪は漆黒の黒髪から鮮やかな茶色へと変色していった。

その際体を覆っていた魔力を周囲に撒き散らしながら光が埋め尽くしていく。

 

「……よし、こんな所か?」

 

変化を終えて自分の体を確認する、うん、変な所はないな。

間違えなくいつも通りの相沢祐一の姿だ。

今回は時に時間があったので上質な相沢祐一となれた事は確かだ。

これなら結構戦えるかな?

 

「―――"ファイヤーボール"

 

試しに詠唱破棄をしたファイヤーボールを手の平に発現してみる。

楽勝だな、まあ出来たばかりの体だし……このぐらいは当たり前か。

後は……どれだけの魔法が発現できるか試したい所だけど……。

 

「適当な相手がいないな、魔物じゃ役不足だし」

 

そういえば他の幹部級の情報を一切聞き出す前に倒しちまったからなぁ。

まあ久しぶりに全力でやったんだ、少しぐらいのお茶目もいいだろ。

 

「―――まずは知り合いでも探すか」

 

取り敢えずはカノン学園にでも戻ってみるか……。

 

 

 

 

カノン学園の屋上は誰も近寄れぬ死場と化していた。

飛び散る炎、咆哮する光の弾丸……まるで一つの戦争を見ているが如きの戦いであった。

 

―――駆ける。

 

「―――"ローエンシュヴェルトッ!!!"

 

―――舞う。

 

「―――"我、埋葬を厭わず塵と化せっ!!"」

 

舞い散る、舞い踊る。

 

「「はぁぁぁぁぁぁぁぁっ!!!」」

 

叫び、咆哮し、ぶつかり合う。

北川が魔剣を振れば場は高温の灼熱地獄となり雪を溶かす。

牙紗が魔法銃を放てば辺りは光の渦と化し雪を撒き散らす。

 

「ちぃぃぃぃぃっ!!」

「中々やるじゃねぇかっ!」

 

北川と牙紗は一度距離を離しながら間合いを計る。

しかし共に手に持つ武器は遠距離武器、間合いを離しながらも武器の銃口は両者とも相手に向けていた。

 

「やるじゃねぇか、北川潤……人間がここまでやるとは思ってなかったぜ?」

「こっちだって吸血鬼がこんな化け物だと思ってなかったよ……」

 

二人は軽く笑いながらも内心では驚愕に包まれていた。

 

北川はいくら相手が吸血鬼だろうと正直ここまでやるとは思わなかった。

手に持っているのは北川家家宝、本来上級の魔物を倒すためにとある錬金術師に作ってもらった魔剣だ。

これを持つからにはそれをもつ主人は最強でなければならない。

しかし、目の前の吸血鬼には悉くかわされてしまった。

 

牙紗とて相手が人間である限り限界はすぐに見えると思っていたが結果として今に至る。

手に持っているのは吸血鬼にしか扱えない魔法銃、とある科学者が牙紗の為に作った最上級品だ。

本来はもっと強力な魔道兵器を作ろうとしてその制作段階で出来た試作品らしいのだが牙紗はそれを気に入っていた。

単発式であるが故の弱点はあるがこれは必殺を秘めた魔法銃だ。

魔力をかなり喰うがそれ以上の見返りを与えてくれる凶悪な武装だ。

しかし、目の前の人間には悉くかわされてしまった。

 

共に必殺、そして必中を秘めた武器で戦っているのだが両者とも不発……。

それ所か一歩間違えれば自らが相手の武器に巻き込まれてしまう。

これほどの緊張感が溢れる戦場は両者共初めてだった。

 

「……はぁ〜、均衡状態ってのも嫌なもんだな」

「そうか? おれっちはこういう感覚は好みだね」

「はっ、やっぱあんた戦闘狂だよ」

 

北川は軽く笑いながら手に持っている魔剣を持ち直し吸血鬼を睨む。

牙紗も魔法銃を握りなおしながら北川の様子を直視する。

―――次の瞬間にも勝敗を決めるために自らが持つ全てを賭ける勢いでぶつかり合う。

場は既に二人以外には止めるものは……いるはずがなかった……はずだった。

 

「………こんな所で何してる」

 

っと、場違いな声が死場と化していた戦場に響いた。

 

「―――なっ!?」

「……誰だっ!?」

 

向かい合っていた両者は驚愕しながらも闖入者に向き直る。

すると……そこにいたのは美しい黒い髪を靡かせて一本の一振りの剣を構えている少女であった。

その姿を見て……北川と牙紗はどちらでもなくその名前を呟いた。

 

 

―――川澄舞……っと。

 

 

to be continue……

 

 

 

 

 

 

あとがき

第十四話いかがでしたでしょうか?

舞登場ー!?(゜∀゜)

いや、今回はこれだけでいいでしょう(ぇ

 

 

こ(以下略

 

 

 

 

―――第十四話★用語辞典―――

 

製作中

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