「………真琴、この先に何が見えますか?」

「え? この先……う〜んっと、魔物ばっかりだよ?」

「こちらにもですか……まったく、何処も彼処も魔物ばっかりですね」

「どこもかしこも? 美汐はたまに凄い難しい事をいって真琴を困らせるんだから〜」

「いや、別にそんなつもりは……」

 

私はそう真琴に言いながら苦笑いをしました。

しかし真琴の話ではどこを歩いても10〜20体の魔物と鉢合わせになる。

これは困りました、私達は出来れば無傷でカノン王国に行きたいのですが……。

仕方ありません、ここは少し皆さんに力を借りましょう。

 

「―――"我の呼び声に応えし者、契約に従い今その姿をここに現したまえ、草月"

「わ、わわっ! 美汐、いきなり使い魔なんて召喚しないでよ〜!」

 

……真琴が隣で騒いでいますが今は無視です、後で謝りましょう。

光に包まれて一匹の風を纏っているワイバーンが姿を現した。

この子の名前は草月、些か気性は荒いですが私の頼れる使い魔の一匹です。

体が大きいので私と真琴ぐらいなら乗れるはずです。

それにこの子は人を乗せるのが好きみたいなので喜んで乗せてくれる事でしょう。

 

「お願いしますね? 草月」

「きゅ〜」

「真琴も乗るー!」

「わかってますよ、……さて目指すはカノン王国ですね」

 

私と真琴は草月に乗る、そして草月は一声鳴くとその体をゆっくりと大空へと浮かび上がらせる。

そして風をきり……心地よい風が……感じられるはず……だったんですけどね、いつもは。

今は……凍えるような吹雪が私達を容赦なく襲っています。

 

「………寒いです」

「そりゃ雪の国だもん、当たり前よ〜」

 

失敗しました、これなら下を歩いていった方が正解だったかもしれません。

―――私、寒いの苦手ですし。

 

 

 

 

ロードナイツ

 

第十五話

「漆黒の騎士」

 

 

 

 

「もう一度聞く、ここで何してる」

 

そういって漆黒の黒髪を靡かせながら一人の魔法使いが屋上の入り口に立っていた。

腰には一振りの剣、そしてその顔はカノンでは知らぬ者がいないほど有名な人物。

川澄舞……カノン学園始まって以来の規格外、規定外の最強の魔法使い。

そんな"異常"を見て死闘を繰り広げていた二人は呆然と川澄舞を見つめている。

 

「…………?」

 

黙って自分を見ている事に気がついた舞は不思議そうに首を傾げながら………

 

「……言葉、わからない?」

 

っと、普通に聞いてきた。

二人はまたも呆然として舞を見つめる。

最早場は舞ワールド、死場と化していた屋上は一転して不思議な空気に包まれていた。

 

「なぁ……吸血鬼」

「なんだよ……北川潤」

 

北川は呆然としながら目の前を直視して牙紗に問う。

牙紗も何処か肩透かしを喰らった様に目を見開き呆然とそれに応える。

二人の思いは不思議と同じだった、―――目の前の彼女は何者なんだろう……と。

もう止められはしないと思った激突必死の死場、それをたった一声で止めた川澄舞。

――あの威圧感、そして一瞬にして二人の動きを止めて割って入った不自然さ。

 

「あれ、本当に川澄舞……だよな」

「どっちかっていうとおれっちが聞きたいくらいだぜ……しかしこいつが川澄舞か」

「おいおい、早速目移りかよ……まぁいいけど」

 

牙紗はそういって嬉しそうに立ち上がる……。

牙紗の目的はただ一つ、強者と戦いたい……ただそれだけだった。

そして目の前にいるのは先ほど戦った秋桜麻衣子、北川潤なんかでは比べ物にならない上玉。

魔族のおれっちがいうのだから間違いない、そしてあれは――おれっちの獲物だ。

 

「始めまして川澄舞、おれっちの名前は牙紗……戦いを望む者だ」

「………そう、それでここで何してる」

「戦いに決まってんだろ? かかって来いよ」

 

牙紗はそういって手に持った魔法銃を川澄舞へと向ける。

しかし、その瞬間……川澄舞が"消えた"

 

「―――なっ!? 馬鹿な!?」

 

急いで辺りを見渡すが川澄舞の姿は……見えない。

吸血鬼の洞察力は人間より数倍優れている……はずなのだが今牙紗は川澄舞を完全に見失っていた。

 

「空間転移魔法!? いや……まさか、ありえない!」

 

牙紗は一歩後退してその足を止める、……いくら後退しようがもし相手が空間転移を使えるなら無駄だ。

それなら、ここで警戒を高めて相手を待つほかない。

幸い北川潤は静かに静観している、しかし野郎……口笛なんて吹きやがって余裕だな。

 

「なんだ? 悪いけど手助けなんて出来ねぇぜ?」

「うるせぇ! 黙ってやがれ!!」

 

魔法銃を構える腕が汗ばむ……。

くそっ!人間如きにこのおれっちが!

認めねぇ……絶対認めねぇぞ……、おれっちは戦闘では絶対の吸血鬼だ!

 

「かかってこいよ! 川澄舞!!」

「………わかった」

「―――なっ! なにぃ!?」

 

いきなり聞こえた川澄舞の声―――それは真正面、しかも距離は……零。

この―――野郎、何時の間にここまでっ!

くそっ、この距離じゃ魔法銃で対応が出来ない!

 

「ちぃ―――っ!?」

「これで……終わり!」

 

川澄舞の持つ剣が煌いて牙紗の腕を切り裂いた―――。

慌てて後退しようとする牙紗。

 

「く……! このぐらいっ!!」

「………せいっ!」

 

しかし川澄舞は止まらなかった、刹那……牙紗の足を切り裂きもう片方の腕を切り裂いた。

―――化け物かよ!しかも……こいつ、何の魔法行使もしないでここまでの力を!

このままじゃ……吸血鬼といえどキツイもんがあるっつーのっ!

こりゃ単純に戦闘慣れってだけじゃなくて天性のもんだなっ!嫌な所ばっかり突きやがる!

流石にカノンの最強の一人ってわけかよ……。

だがな……おれっちだって切り札の一つや二つ、持ち合わせてるっ!

 

「―――"我、埋葬を厭わず……無に帰れッ!!"

 

牙紗は魔法銃を逆手に構えそのまま銃を"投げ飛ばす"―――そして"詠唱"を唱えた。

それが魔法銃の一度限りの使用法、それは……開放。

魔法銃の限定的な魔法効果を瞬間的に暴発させて強力な一度限りの爆弾と化す。

これで……どうだ……化け物め。

 

 

―――そして、全てが終わった。

 

 

「ば、馬鹿……な」

 

口から出るのは驚愕の言葉。

目の前に立っている規格外を見て素直に出てきた言葉だった。

―――確かに魔法銃は川澄舞を巻き込み屋上を破壊しつくすはずだった。

なのに……何故川澄舞は無事でそこに立っているんだろうか?

 

「………終わり? それじゃあ次はこっちの番」

 

川澄舞は手に持った剣を携えながらゆっくりと歩いてくる。

……違う、おれっちが本当に驚いているのはそんなことじゃない。

川澄舞が無事ならそれはそうなのだろう、しかし……それなら何故"屋上までもが何事もなかったように"無事なのか。

爆発の影響も何もない、何処も壊れていないし煙さえ上がっていない。

まるで……爆発そのものがなくなってしまったような静けさ……。

 

「お前……何者だよ」

「………私は……魔物を討つ者だから」

 

―――そして、川澄舞の腕から剣が振り下ろされる。

……ちぃ、終わったな……漠然と牙紗はそう悟っていた。

魔法使いのはずの目の前のモノは魔法すら使わずに自分を打倒した、それは何と屈辱的な事か。

しかし、幻想的に剣を構える川澄舞の姿を見て……それでもいいか……なんて事を思ってしまった。

 

 

to be continue……

 

 

 

 

 

 

あとがき

第十五話いかがでしたでしょうか?

舞活躍ー!?(゜∀゜)

いや、今回はこれだけでいいでしょう(ぇ

 

 

もう毎日更新でもいいや(何

 

 

 

 

―――第十四話★用語辞典―――

 

製作中

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