「この避難所にも誰もいない……、みんな何処に避難したのかしら……」

「学園内の色々な場所で魔力の衝突が感じられますからね、多分生徒達や先生達も避難しているんでしょう」

「くっ、早くしないと久瀬君がもうもたないわ」

 

美坂さんは僕が背負っている久瀬さんの方を見ながら焦る。

……どうでもいいけど僕はこういう肉体労働は苦手なんですけどね。

しかし、確かにこのままだったら久瀬さんはもたないだろうな。

さっきから避難所候補に顔を出しているが人っ子一人見当たらない。

―――ただでさえ出血が多く意識さえ残っていない危険な状態なのに時間さえ奪われたらもう駄目だろう。

 

「応急手当だけでもしたいんですけど……美坂さんは治癒魔法使えますか?」

「……無理よ、人体の構造を理解して再生能力を強化する治癒魔法なんて多分生徒の中で使える人なんていないわ」

「ですよね……、そんな事出来る人がいるとすれば川澄さん程度の実力者でしょう」

 

それはそうだ、治癒魔法を使える人間なんてこのカノンの中でも少ないだろう。

止血や擦り傷程度の治療ならば出来るだろうがここまで大きな怪我ならば魔法が必要となる。

人間という完成された一つの器の構造を理解して解析し人体が持つ再生能力を促すという魔法は上級魔法にも匹敵する。

再生能力の促進は言い換えれば時間を進める事、それ故魔法使いの中でも扱える者は少ないのだ。

範囲的でありながら禁忌とされている"時間跳躍"の真似事をするのだ、魔法使いのタマゴ程度が使えるはずがない。

―――学園内で使える者がいるとすれば一部の例外を抜かしては先生ぐらいのものだと思われる。

 

「アーレン先生は使えましたっけ?」

「……無理じゃないかしら、もし使えるのならば久瀬君を私達に託したりしないわ」

「なるほど……、それは納得です」

 

久瀬さんを僕達に託したとすればその通りですね。

……だからアーレン先生は自分だけ残って敵を引きつける役割を買って出たのだろう。

だけどそうすると大変な事になりましたね、今の所希望が更になくなりました。

 

「どうしますか、このまま闇雲に探していたら間に合いませんよ」

「……でもそれ以外に方法はないわ」

 

―――僕達の速度からいってもう久瀬さんを先生の所まで届ける時には間に合わない。

多分美坂さんもわかっているんだろう、その顔は悲痛に満ちていた。

こんな事なら魔法以外にも医療的な方法を習っておくんでしたね。

まったく、魔法使いは目的を目指して進むものだからそれ以外に興味がないっていうのも考えものですね。

まあ今はそんな事を後悔するより先に行動する方が効率的です。

 

「それじゃあ次の場所に向かいましょう」

「そうね、考えていてもしょうがないわ」

 

僕達はお互い頷きあって避難所から廊下へと出る。

次の避難所は……確か第5図書室だったかな?

ちょっとここからでは遠いな、走っても数分はかかる……。

それまでは久瀬さんがもってくれるといいんですけどね。

 

「それじゃあ行きましょう、美坂さん」

「えぇ、わかっ―――っ!? 倉田君、避けなさい!」

「………え?」

 

一体何が起こったのか僕にはわからなかった。

ただ分かる事は一筋の光がこちらに迫ってくる事と、そして美坂さんが一瞬にして僕の目の前に出て魔法障壁を展開した事だけだ。

衝突した光と展開された障壁の衝撃がこちらにまで届く……。

どうやら飛来してきた何かを美坂さんが僕を庇う為に盾となってくれたようだ。

 

「な、なんだ……?」

「倉田君、先に行きなさい」

「美坂さん、一体何が……っ!」

「敵襲よ、それもかなりの実力者の」

 

―――僕もようやく目視で遙か先にいる敵を確認した。

どうやら敵は単体、しかも遠距離からの攻撃が可能のようだ。

……まさかさっきみたいにドッペルゲンガーか?

だとしたら強敵だ、どの生徒をコピーしたのかはわからないが厄介な事には変わりない。

まったく、こんな時に面倒な事になりましたね。

 

「美坂さん、一人じゃ危険です」

「……仕方ないでしょう、今は久瀬君の治癒が先よ」

 

そういって美坂さんは僕達の前に庇うように立つ。

―――囮になるつもりですか、美坂さんは。

 

「大丈夫、足止めだけだから」

「……わかりました、後は頼みます」

 

僕はそういって久瀬さんを背負いなおしながら反対方向へと駆け出す。

……絶対に危険な事はしないでくださいよ、美坂さん。

 

 

 

 

ロードナイツ

 

第二十四話

「三つ巴」

 

 

 

 

『おい、我が主人……どうするんだ?』

「……わからないわよ、この状況がどうなってるのか私が聞きたいわ」

 

私は呆然としながらも目の前の状況を理解しようと必死になっていた。

落ちてきた三人、落ちてきたワイバーン軍団……本当に何がなんだか……。

しかもこの三人、あろう事か私を無視して何か険悪な感じなんだけど。

―――もしかして私ってば余計な事しちゃったかしらね。

 

「真琴、身体は大丈夫ですか?」

「うん、何とか……それより美汐、あいつ結構強いわよ」

「……でしょうね、私の攻撃がまったく効いてないみたいですし」

 

見た感じではあの女の子達と男の子が戦ってるって所かしらね。

……それにしてもどちらも微妙な気配がする。

魔族というには薄い気配だけど……それにしても両者とも異質な存在なのは確かだ。

あの馬鹿がいればわかるんだろうけどいつもながらあいつはいない。

だったら深く考えなくてもいいわね、問題はこれからどうするか。

 

「そろそろ諦めたらどうじゃ? 大人しくこの魔物の群れを……」

「あんたから攻撃してきて許せって言うの!?」

「……申し訳ありませんがそれは容認できませんね、私もそこまで甘くありません」

 

あー、考えてる途中に両者とも盛り上がってしまった。

もう少し時間をくれてもいい気がするけど……まあいいわ。

どうやら両者は敵同士で戦闘を繰り広げている。

そしてワイバーンを率いているのはどちらかでつまりどちらかが魔族って事?

……あぁ、もう、面倒くさいわね。

 

『我が主人、どうするんだ?』

「難しい事はわかんないわ、だから……行動しようかと」

『……流石は我が主人、それでこそ俺の使い手だな』

 

……何か馬鹿にされてる気がするのは私だけ?

まあでも否定はしない、ごちゃごちゃ考えるのは私の役割じゃないもの。

だったらやることは一つ……はっきりさせようじゃない。

 

「ねぇ、あんた達聞きなさいっ!」

「……なんじゃ?」

「あぅ? あっ、さっき真琴を助けてくれた人だっ!」

「……なんですか、あなたは」

 

三者の視線が私に集まる……。

というか真琴ちゃんとかいう人、今まで私の存在忘れてたのかしらね。

残る二人は落ち着いたものだ、結構話がわかりそうじゃない。

でもこういう人って嫌いなのよね、私ってば。

 

「単刀直入に聞くわ……あんた達のどっちが魔族?」

「―――っ!?」

「―――あぅ!?」

「………どうして、それを」

 

三者とも別々の反応ね。

図星をさされたような顔、ただただ驚いている顔、そして何かを恐れている顔。

―――ってちょっと待ってよ、なんでみんながそんな顔するのよ。

まさかとは思うけど……結構複雑な事情なのかしらね。

 

「………よくわからないけどあんた達はみんな魔族って事?」

「み、美汐は違うわよぉ!!!」

「……真琴、それは肯定してるも同じですよ」

 

つまり魔族同士が戦ってるって事かしら?

美汐とかいう子と真琴という子が第一勢力、そして男の子は第二勢力って所ね。

しかも両者とも魔族、仲間割れって所かしらねー。

さて、ここからが問題……私はこれからどうするのか。

 

「最後に聞きたいんだけどさ、あんた達のどちらが私の敵?」

 

もしかしたら三つ巴、この身体が何処まで持つかしらね。

―――まあもうどうでもいいわ、兎に角今は戦いたい気分なんだから。

 

 

to be continue……

 

 

 

 

 

 

あとがき

第二十四話いかがでしたでしょうか?

疲れたー、目が痛いですOTZ

体育の日っていう事を知らなかった管理人です(汗)

起きた時凄く焦りましたよー、まあそんな事はどうでもいいんですけどね。

時間ありませんでしたー(ノ_ _)ノ

戦闘シーンまでいけるかなぁ?って所で時間切れ。

まあこれはこれでいいのかなぁー?

 

 

 

 

―――第二十話★用語辞典―――

 

製作中

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